政治家の税金はゆるゆる

とにかく、政治家の税金というのは、制度自体がゆるゆるな上に、税務当局の対応もゆるゆるで、脱税摘発のハードルは非常に高い。

しかし、これは、税務当局が政治家に非常に寛大な解釈をしているからそうなっているだけであって、本来は、帳簿に載っていない収入があり、それを政治家が使っていたり、貯蓄していたりすれば、脱税もしくは課税漏れの指摘がなされるのが当然のはずだ。

写真=iStock.com/masamasa3
本来「脱税の指摘」がなされて当然(※写真はイメージです)

世論の盛り上がりが必要

この高いハードルを越える方法が一つだけある。それは「世論」だ。

税務当局は世論に非常に敏感である。国税局や税務署は、毎日のように納税者と対峙たいじしている。税務行政というのは、納税者の理解と協力がないと成り立たない業務である。

それゆえ国税は政治的なスキャンダルが起きると、国民の反発を受けやすい。

たとえば、税務署の調査官が税務調査に赴いたとき、今回のようなスキャンダルが起きていると、納税者が調査に快く協力してくれるとは限らない。

「なんでうちみたいな小さい事業者には弱い者イジメに来るのか? 政治家は何千万円も裏金を作っているんだから、なんでそっちに税務調査に行かないのか?」

という抗議も当然されるだろう。税務署の調査官としても、そう言われれば返す言葉がない。

大村大次郎『マスコミが報じない“公然の秘密”』(かや書房)

また税務署の窓口まで団体で押しかけて抗議されたり、ちょっとしたことで納税者が大声を上げる、といったことも増える。そうなると、税務当局としては仕事がやりづらい。

そのため国税はある意味、「国民の顔色にもっとも敏感な官庁」でもある。自民党の最高実力者だった故金丸信氏を脱税で起訴したのも、世論の影響が大きかった。

われわれ国民としては、「どうせ脱税で起訴されることはない」とあきらめずに、さまざまな方法で、「裏金をつくっていたのに脱税で起訴されないのはおかしい」ということを訴えていくべきだ。

税務当局が国民世論を無視してこの問題を放置していれば、今度は税務当局がたたかれることになる。税務当局としてはそれだけは何としても避けたいはずなのだ。

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