サラリーマンは税金を逃れられないが、富裕層・資産家の中には節税スキームを駆使する人もいる。元国税調査官の大村大次郎さんの書籍『脱税の日本史』(宝島社)より、武富士創業者一族による「史上最大の節税スキーム」についての解説をお届けする――。(第3回)
竹中平蔵氏の「住民税脱税疑惑」
海外を使って税金を逃れるというわかりやすい例に、竹中平蔵氏の住民税脱税疑惑があります。
竹中平蔵氏は、小泉元首相から大抜擢され、日本経済の舵取りを任された人です。
彼は大学教授で経済のプロですが、自分自身の節税に関しても超絶のテクニックを持っていました。
彼がまだ民間人だったとき、法律のギリギリをついた節税をしていました。国会でも、一時問題になった住民税の脱税疑惑です。
これは究極の節税策だったのです。どういうことかと言うと、竹中平蔵氏は慶応大学教授時代に、住民票をアメリカに移し日本では住民税を払っていませんでした。
アメリカでは研究、仕事は日本でしていた
住民税は、住民票を置いている市町村からかかってきます。だから、住民票を日本に置いてなければ、住民税はかかってこないのです。
本当にアメリカに移住していたのなら、問題はありません。でも、どうやらそうではなかったのです。
彼は当時、アメリカでも研究活動をしていたので、住民票をアメリカに移しても不思議ではありません。
でも、アメリカでやっていたのは研究だけであり、仕事は日本でしていました。竹中平蔵氏は当時慶応大学教授であり、実際にちゃんと教授として働いていたのです。