総務省による「ふるさと納税」への嫌がらせ

総務省がまたしても「ふるさと納税」への嫌がらせを打ち出した。返礼品が寄付額の「実質」3割を超えているとして“問題自治体”の名前を公表したかと思えば、今度は「ポイント」を付与しているふるさと納税仲介サイトの利用を2025年10月から禁止するという。制度を監督する総務省はふるさと納税を振興するのが役割のはずだが、どうしてこうも邪魔をするのか。そこには地方への交付金分配権で自治体を支配したい総務官僚の利権がある。

記者会見する松本総務相=2024年7月2日午前、東京都千代田区
写真=共同通信社
記者会見する松本総務相=2024年7月2日午前、東京都千代田区

「私どもから見ますと、やはりポイント付与による競争は加熱をしてきているのではないか」

松本剛明総務相は記者会見でこう語り、禁止によってふるさと納税の制度のあり方を「適正化」するとした。ふるさと納税を増やしたい自治体は、サイトの運営事業者と契約、寄付額の10%程度を手数料として支払っている。総務省の考えは、その手数料からポイントが出されていて、本来なら税金として自治体に入るものが寄付者の懐に戻っているというもの。ポイントを禁止すれば手数料が下がると考えているようだ。

これに対して「楽天ふるさと納税」を運営する楽天は真っ向から反発している。三木谷浩史・会長兼社長名で、新ルールに反対するオンライン署名を呼びかけ始めた。

運営企業と自治体はウインウインの関係だった

楽天は、ポイントは楽天自身が負担しているとし、「民間原資のポイントまでも禁止し、地方自治体と民間の協力、連携体制を否定するものであり、各地域の自律的努力を無力化するもの」だと強く反発している。

確かに、こうした企業はふるさと納税で儲けていてけしからんと言われれば、一理あるようにも思われる。しかし、自治体からすれば、ふるさと納税を集めるために、自分たちでホームページを作成したり、寄付者の多い都心で宣伝広告するよりも、集客力のあるサイト運営企業に手数料を支払って委託する方が合理的というのは理解できる。サイト運営企業が元々持つ、広い顧客層にいっぺんにアクセスできるわけだから、自治体の利用が広がるのは当然のことだろう。

運営企業も手数料を稼ぐには、寄付者を多く集めることが重要だから、広告宣伝費代わりにポイントを付与する。民間企業ならば当然行う営業戦略だろう。ある意味、運営企業と自治体はウインウインの関係が出来上がっていたからこそ、ふるさと納税受入額がどんどん増えているわけである。