地方自治体に財政的に自立されるのは困る
地方交付税交付金の目的は、財政力の弱いところを強いところの税収で補うことだが、1788ある自治体のうち、交付金をもらっていない財政的に自立しているところは、わずか77しかない。財政赤字だと交付金が国から来るが、努力して黒字になると交付金が打ち切られるという仕組みになっている。だからふるさと納税が導入される以前の自治体は、財政を立て直す努力はせず、霞ヶ関を回って総務省の言いなりになる方が得だと考えていた。
ところが、ふるさと納税は、総務官僚の意図とは関係なく、自治体に税金が移動する。自治体は初めて努力することで財源を増やせる手法を持つことができたのだ。
地方交付税交付金は2023年度で17兆2594億円。ふるさと納税の受入額はまだまだ小さいとはいえ、1兆円を超えてきたことで、地方が財政自立に向けて動き出す「懸念」が出てきている。地方自治体に財政的に自立されるのは困る、というのが総務省が嫌がらせを繰り返す本当の理由だ。