よく食べる人は、よくしゃべる
そして、お元気な方は、しゃべる口もお達者ですね。
以前、「食べる口とともに『しゃべる口』も大事」というテーマで本を書きました。本当に、この2つは関係していて、どちらかに問題が起きると、引きずられるようにもう一方も弱ってしまうことが多いのです。
私はこのことを病院で入院、治療している患者さんから教わりました。しゃべる人は食べられて、早々退院する。話せない、食べられない人は時間がかかる。地域活動をするようになって、地域で暮らすお年寄りを見ても同じだと思いました。
しゃべる、食べる人はお元気。健啖家の先輩はおしゃべり好きです。
当たり前に感じるかもしれませんが、高齢期には「当たり前」がうまくいかなくなることが多いのです。意識的に増やさないと、しゃべる機会は減る一方です。なるべく人と関わり、話す、ということを意識してみてください。
ドラッグストアでは低栄養を予防する栄養機能食品が販売されています。また、アスリート向けの栄養機能食品の中にも、高齢の人も活用するとよい製品もあります。
そしてなにより、最近は管理栄養士が勤務していることが増えてきました。
買い物がなくても、ちょいちょい顔を出し、管理栄養士となかよしになってください。それぞれの地域で、専門職の専門性を上手に利用し、元気を保っておられる先輩たちがいます。
自立した人は、「頼れる先」をたくさんもっている
私も地域活動では利用してもらう専門職の1人。やはり互いに何度も顔を合わせ、食や生活についていろいろなお話を聞き、頼りにしてもらえるとうれしく、支援しがいが高まるのです。
ドラッグストアでは、とても忙しくて、十分に相手ができないこともあるかもしれませんが、悩みや相談を無下にはしないはず。介護における食の問題なども、相談できます。
ところで、私は自立とは「誰にも頼らずに自分だけで生活する」ではなく、「たくさん頼れる先をもって、バランスよく利用し、自分らしい生活を続ける」だと考えています。
人は誰でも老い、体力も機能も衰えます。それを受け入れ、できることを楽しむ姿を、人生の後輩たちに見せるのも、お役目の1つだと思うのです。
医療や介護の仕事をしている人には同じように考えている人が多いと思います。私たちは頼りにしてもらって、仕事ができ、活かされます。
高齢社会となって人生の途中で病気や障害とともに生きることになる人は多くなりました。ぜひ「多くの依存先をもち、使いこなせることが自立」と理解する人が増えるといいと思います。