100歳まで健康を保つために必要なこととは何か。管理栄養士で大妻女子大学家政学部の川口美喜子教授は「おいしい料理を手軽につくり続けるために調理器具は見直したほうがいい。大きな圧力鍋や重い鉄鍋は手放して、電子レンジとレトルトの活用を考えてほしい」という――。

※本稿は、川口美喜子『100年栄養』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

電子レンジ
写真=iStock.com/AndreyPopov
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大容量の圧力鍋、鉄鍋は捨ててしまう

食欲や食事量が落ちてきた人に、おいしく食べる喜びを取り戻していただくきっかけになるように、「スムージー」をご提案しています。

このスムージーをつくるのに便利な調理器具がハンドブレンダー。ポタージュスープや介護食などをつくるときも手軽なので、高齢になったらもっていたい調理器具としてみなさんにおすすめしています。ミキサーよりもお手軽で、1人分がつくりやすいです。

ほかにも、おいしい料理を手軽につくり続けるために、もっているとよい調理器具があり、私は「60代で、調理器具を見直し、買い直しましょう」とおすすめしています。

たとえば、お芋をつぶすマッシャー、皮むきがラクなピーラー、直径16~18cmの小さなフライパン、小さめの圧力鍋、小さめのミキサーやフードプロセッサー。

いずれも、重いものから軽めのものへ、大型から、小型へチェンジです。ご高齢の方のキッチンへおうかがいすると、大容量の圧力鍋や重い鉄鍋などはしまい込まれ、ほこりをかぶっていることが多いものですが、60代以降の「コンパクト神器」は、普段から大いに活用され、役立っています。

電子レンジ、トースター調理で洗い物の手間を省く

子どもが巣立ったあるご婦人は、包丁や鍋などを小さく、軽いものに替え、調理器具を減らし、食器も整理して、便利な調理器具をすぐ取り出せる位置に置くことに。奮発して高機能の電子レンジに買い替え、テーブルに出したIHコンロと併用して、ガスをほとんど使わないようにした、と言いました。

まさに、年齢を重ねて料理がおっくうになってしまうのには「包丁が重い」「鍋が重い」「うっかり空焚きが怖い」「器がかさばる」といった、小さなストレスも影響することが多いのです。

1人暮らしになったことをきっかけに、キッチンのレイアウトを替え、調理の大半を座ってできるようにした人もいました。こうしたことも、おいしく食べ続ける工夫ですね。

たとえば「小さめの圧力鍋」は、調理時間は短いのに、食材の旨味を逃さず、芯までしっかり調理できる優れものです。

以前、私が定期的に食事会を開いている「暮らしの保健室」(東京都新宿区)で、「時短料理の日」と題し、参加者が考案した時短レシピを披露し合う会を開いたことがありました。

先輩たちは1つの鍋や電子レンジ、オーブントースターなどを利用して調理し、できあがった品々は1つの皿に彩りよく盛って、片付けや洗い物の手間も省いているとのことでした。缶詰やびん詰め、レトルトの「常温で置いておける食品」を大いに活用していることも共通点でした。