たくさん鏡を置いておく

自宅のあちこちに鏡を置いておくといいです。

なぜかというと、私たちは、鏡で自分の姿を見ると、自己意識が強化されるからです。オランダにあるラドバウド大学のアプ・ディクステルホイスは、多くのスポーツジムにおいて、鏡張りのところが多いのは、利用者が鏡で自分の姿を見ることで自己意識を強化し、「もっと頑張ろう」という気持ちを高める効果を狙っているからだと指摘しています。たとえ手を抜きたい気持ちになっても、鏡に映った自分の姿を見ると、「もう少しだけ、やってみるか」というモチベーションが高まるのです。

そういうわけで、新しい習慣を身につけようとするときには、ちょこちょこと鏡で自分の姿を見たほうがいいのです。「今日はちょっとサボっちゃおうかな」という気持ちになっても、鏡を見れば、何となくサボりにくい気持ちになります。自分が悪いことをしているような気分になってしまうのです。

デパートや高級店では、お店のあちこちに鏡が設置されています。どうして鏡を置いているのかというと、万引き防止のためです。自分の姿を鏡で見ていると、お客さまも万引きをしようという気持ちにならないのです。自己意識が強化され、悪いことを抑制できるのです。

普段、あまり自分の外見を気にしない人でも、トイレの洗面台で鏡に映った自分を見ると、髪型を直そうとしたり、ネクタイをきちんと締め直したりするのではないでしょうか。鏡を見ると、だれでも自然と「きちんとしなければ」という気持ちになるのです。

内藤誼人『科学的に「続ける」方法 「習慣化」できる人だけがうまくいく。』(総合法令出版)

私が会社の経営者なら、職場のいろいろなところに鏡を置いておくでしょう。そうすれば、社員たちは手を抜いたり、会社の備品を盗んだりしなくなると予想できるからです。

自宅の玄関のそばには、鏡を置いておきましょう。出かけるたびに、自分の姿を見て、「ようし、頑張るぞ」という気持ちになることができます。最近では、化粧をする男性も増えておりますが、それでも多くの男性は、コンパクトミラーを携帯することはないと思います。

ですが、鏡は自分のモチベーションを高めるのにとても効果的な小道具ですから、ぜひ利用してみてください。仕事用のカバンの中にコンパクトミラーをひとつ入れておくと、いつでも好きなときに自分の顔を見ることができますし、気分がだらけてしまいそうなときに利用することができます。