「競合は水道とやかん」

ECサイトという「売り場」もうまく活用した。炭酸水などの飲料はケースで買うと重く、スーパーなどの実店舗で購入すると、車や家にまで運び込むのは一苦労だ。ところが、多くのECサイトの場合、配達員が玄関先まで運んでくれるメリットがある。

嗜好しこうやその時の気分に合わせてする「買い物」と違い、ある程度のクオリティーと安さを兼ね備えた商品を、労力をかけずに「調達」する購買方式にLDCは強みを発揮している。ECの場合、一度でも購入されると、その後も継続して購入される傾向があるという。

生きていく限り「のどを潤す」という需要はなくならない。「買い物」ではなく「調達」したいとき、最も力を発揮する要素が「安さ」であり「王道を外さない味」なのだ。

「値段で勝負すると、どうしても『おいしくない』とか、『薄利多売』というイメージが付きまといます。ですが、われわれの場合は、芯を外さないおいしさの追求にはこだわっていますし、実は営業利益率も10%を超えていて、薄利多売ではないんです。日常に欠かせない飲料を高品質・低価格で提供するという意味では、私たちの競合は、大手さんでも地方の飲料メーカーさんでもなく、水道ややかんですね」

LDCの躍進の背景には、「安かろう悪かろう」と消費者に思わせないひたむきな戦略がちりばめられていた。

写真提供=ライフドリンクカンパニー
(取材・構成=ライター・山口伸)
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