今年の政治情勢

政治情勢にも注意が必要です。

ロシアのウクライナ侵攻で、中国も強権国家としての動きを強めています。強権国家と自由主義諸国との間での「デカップリング(分断)」が言われて長くなりますが、その動きがさらに進むかにも注意が必要です。米国の経済的な動きにも関係するからです。

そうした中、11月には、米大統領選挙があります。バイデン政権への批判が小さくない中、トランプ前大統領の返り咲きも取りざたされています。トランプ政権下では、米中貿易摩擦が大きな懸念材料でした。

そして注目は、1月の台湾の総統選挙です。この原稿は総統選前に書いていますが、反中国派の民進党から総統が選ばれれば、習近平の異常なまでの台湾統一への意欲を考えれば中台関係の緊張が増す可能性は小さくありません。親中国派の国民党の総統誕生の場合には、より中国寄りが鮮明となり、こちらも尖閣諸島の問題も含めて、日本への影響があると考えられます。

北朝鮮もミサイル発射などで挑発を続けるでしょう。極東アジアも不安定さを増すことが考えられます。

これらのことに対して、日本の政治は期待薄です。政治資金パーティーにからむ政治資金規正法違反事件で自民党は大きく揺らいでいます。岸田文雄首相には、こういうときこそリーダーシップを期待したいものですが、十分には対応できず、そのことが支持率に表れています。9月の自民党総裁選では新総裁=新首相が誕生する可能性が高いと考えられます。それより前に、やけくそでの衆院解散もあるかもしれません。いずれにしても、経済に目を向けている余裕は今の政権にはありません。

コロナ明けの経済回復に期待したい年ですが、中国・台湾情勢や政権の行方にも注目です。

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