岸田政権が所得税・住民税あわせて4万円を減税する方針を決めた。公認会計士の山田真哉さんは「あくまで現時点での情報に基づく想定になるが、このまま進めば、かなり複雑で不公平な制度になることが予想される。減税ではなく給付金にするべきだった」という――。
参院予算委員会に臨む岸田文雄首相=2023年10月31日、国会内
写真=時事通信フォト
岸田首相がこだわる「減税」はスジが悪い(岸田文雄首相、2023年10月31日)

「4万円所得減税」の中身は「難解で不公平」

2023年11月2日、岸田政権は「4万円所得減税」を含めた経済対策を閣議決定しました。ネット上で「増税メガネ」という言葉が飛び交う中、世論の反発に負けて減税に踏み切らざるを得なかった形です。

今回の減税措置がいつ、どのように実施されるのか、その中身が気になっている方も多いと思われます。

ただ、現時点の情報で判断する限り、非常に難解で、コロナ給付金などに比べてもはるかにワケがわからない措置という印象を受けます。

事務処理を担当する経理・税理士の現場はかなり混乱するのではないでしょうか。

また、所得や働き方によって減税のされ方が異なってくるため、かなり不公平な政策という面もあります。

これについて、私のYouTubeチャンネル「オタク会計士ch」でも解説しましたが、プレジデントオンラインでも改めて取り上げてみたいと思います。

現時点で詳細がすべて決まっているわけではないので、あくまで参考情報としてご理解いただければ幸いです。

住民税非課税世帯には「10万円の給付金」

今回の所得減税のイメージは次のようになります。

【図表】所得減税のイメージ
筆者作成

まず、住民税非課税世帯には物価高騰対策の「重点支援給付金」が支給されます。

住民税非課税世帯は全国に約1500万世帯、2500万人いると言われていますが、1世帯あたり3万円の重点支援給付金がすでに支給されています。

これにあと7万円が追加で年内に支払われることになります。

また、住民税非課税世帯には該当しないものの、住民税の均等割のみ課税されている世帯もあります。これに該当する方にも、住民税非課税世帯と同じく、計10万円の給付金が支給されます。

以上が「給付金」についての詳細です。