ワースト入りを逃れた期待の俳優たち

救済枠でワーストを免れたのは若手女優3人

今田美桜 「トリリオンゲーム」(TBS)
仁村紗和 「わたしのお嫁くん」(フジ)
富田望生 「ブギウギ」(NHK)

ノミネートされたが、救済枠でワーストには入らなかった人々にも触れておこう。

今田美桜は巨大IT企業の社長令嬢で取締役、キレモノの役どころだが説得力に欠けた。阿漕あこぎで強欲で傲慢ごうまんな女にはどうしても見えなくてね。ただし「ラストマン」(TBS)の技術支援捜査官役で挽回、さらに「いちばんすきな花」(フジ)の夜々ちゃんはこれ以上ない適役だったので、逆にベスト俳優へ。

仁村紗和もやりすぎた。人事部の赤嶺さんは、ひとりだけ外連味が激しく、浮いてしまったのだ。が、女性の貧困を描く「SHUT UP」(テレ東)の主演で挽回。若さと美しさだけを求める男社会の歪みと対峙たいじする女子大生の役で、今後の展開に期待している。

最後は朝ドラから。ズーズー弁でひとり気炎を吐く小夜ちゃんこと富田望生にやりすぎ疑惑が浮上。ヒロインに憧れて弟子入りしてきた田舎娘だが、経験豊富で基本的に人間不信。あき竹城を彷彿とさせるとも言えるのだが、大声でしつこく騒ぎすぎと思う場面も。演出がそれを望んだのだろう。

ただし、今年を振り返ると、富田には静かなる名演が。「だが、情熱はある」(日テレ)の南海キャンディーズのしずちゃん役だ。オードリーの春日を演じた戸塚純貴も本人にかなり近い好演だった。ということで挽回。3人とも好きな女優で、令和を担う俳優になると信じているのでエールをこめて。

ジャニーズ俳優の限界を見た

ワースト5は「力不足」か「役不足」

5位 松本潤 「どうする家康」(NHK) -20点
4位 大沢たかお 「ONE DAY」(フジ) -20点
3位 前田敦子 「育休刑事」(NHK)他 -20点
2位 西野七瀬 「Dr.チョコレート」(日テレ)他 -20点

残念なのは5位の松本潤である。前半、松平時代の家康の甘さ、情けなさ、決断力と威厳のなさ、右往左往する姿はコミカルであり、名武将とは程遠いぼっちゃん感が新鮮。有村架純を好きすぎるところも含め、人間の弱さが前面に出てよかった。アイドル大河、いろいろな意味で記憶に残ると思っていた。

が、中盤から急にトーンダウン。爆速で老け、貫禄も深みも身につけないままあっという間にメークがジジイになって小声になっただけ。いつまでも若さと輝きを求められた結果、円熟味を身につけないスターの限界。

有村架純・小栗旬・寺島しのぶに託し、まさかの若かりし頃に遡るというNHKの忖度だか塩対応だかわからない最終回。歴代の家康役者の中でも爆速で忘却の彼方へ。