眠気による経済損失は3兆4694億円

アメリカの推計によれば、ドライバーの31%が一生に一度は運転中に居眠りをするそうです。

アメリカの高速道路で起こった事故のうち約10万件が居眠りと関係があると言われています。眠気が発生していることで、重大な事故や信用問題となることも少なくありません。

日本大学医学部精神神経医学教授の内山真医師は、眠気による経済損失は3兆4694億円と述べています。目を見開いてしまうほどの数字ですね。

ただ、この数字を見て多くの人が睡眠時間の短さを想像しますが、ほとんどの論拠が睡眠時無呼吸症候群といった睡眠そのものの疾患から発生する眠気や問題を指摘しています。

世界中の睡眠における経済損失の論文や記事も同じような流れです。

眠気が起きている間、仕事の手は止まっていることになりますので、ビジネスパーソンの多くが日中の眠気で悩んでいるとしたなら、決して大げさな損害額ではないと考えられます。

また、この統計には感情的なものは入っていないため、経済損失だけでなく、人間関係の損失なども考えると、眠気がどれだけ自分の人生の足を引っ張っているかは容易に想像できるかと思います。

このように望まないときに発生する眠気は、社会性や自分の未来、周りの信用などを激減させ、誰も望んでいない事態を引き寄せることに繋がります。

そもそも眠気解消が睡眠をとること以外でも可能なのであれば、多くの人が睡眠時間を減らし、集中して活動できる時間を増やす選択をとるのではないでしょうか。

食後の眠気に効くシンプルな方法

本稿では一例として、食後の眠気を解消する方法を解説しましょう。

食後に眠くなる要因はさまざまありますが、どんな食事だったとしても対応できる最も簡単な対処法として、カフェインの摂取があります。

食後にコーヒーや紅茶、緑茶を飲む習慣は、昔から受け継がれている文化です。

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学びや伝達方法が限られる古代の人達は自分たちの体感でもって、食後の眠気に効果的な方法を割り出したと考えられます。

食後の主な眠気の発生要因は、オレキシンという覚醒補助ホルモンの減衰げんすい(少しずつの減少)と、アデノシンという睡眠物質が脳脊髄液に蓄積すること、四肢の血流低下と体温の上昇、血糖値の乱高下による副腎疲労やストレス反応などが挙げられます。

アデノシンが蓄積することで機能しはじめたGABA(脳内にあるアミノ酸の一種)が、集中に必要なホルモンの邪魔をしてしまいます。

カフェインは、GABAが集中力を低下させ眠気を発生させるのを、ブロックする効果があるため、結果として眠気を抑えることができるのです。