テストでは測れない非認知能力が発達している
この日本の子どもたちはレベルが高いわけではなく、私の実家である田園地帯の子たちで、この街はそれほど裕福ではありません。日本の子どもらは全体的に礼儀や共感性がしっかりしており、小さな子でも非認知能力が恐ろしく発達しているのです。
非認知能力とは「社会情緒」に関する能力のことで、感情の動きをつかさどる働きをします。それは「社会性」「協調性」「忍耐力」「意欲」「自己肯定感」「予測力」「共感性」などで構成されます。もっと具体的にいうと以下のようなことです。
◇相手の都合を考えて予定を調整する
◇お客さまのニーズを察知する
◇グループ活動をやり目的を達成する
◇ものごとをやり遂げる
◇周りの人と上手にコミュニケーションをとる
なお記憶力や学力テストで数値化できる能力は「認知能力」であり、算数や国語など試験の成績に当たります。
日本の「普通」は決して普通ではない
近年における英米の脳科学や発達心理学の研究でも非認知能力は認知能力よりも大人になってからの成功、さらにはその社会やコミュニティの発展に影響が大きいとされています。そして教育でも情緒や社会性を高める科目と活動が重視されているのです。
中国でも算数や国語ばかりで試験漬けの子どもらの問題行動が目立つので、最近では野外活動やダンス、演劇など芸術活動に力を入れて、子どもの社会性や情緒を伸ばそうという傾向が高まっています。
ところが、みにろま君が遭遇した学友や街で出会う日本の子どもたちは、かなり高いレベルで成熟した非認知能力を身につけています。私が学校へ迎えにいっても、小学1年生が私にきちんと挨拶をしたり、たいへん丁寧に世間話をしたり、さらには下駄箱に靴をきちんとしまうのです。
私が待ち時間のときに観察していたところ、遠足から帰ってきた5年生はバスから下車して点呼が終わるまで10分かかりませんでした。統制がまったくないイギリスやフランス、アメリカの子どもなら同じ行動に40分ほど要するはずです。