できるリーダーは、「あれ、これ、それ」を使わない

「言葉を端折りすぎて相手に伝わらないことを避けたい」と考えるできるリーダーは、「丁寧な言語化」と「言葉選び」に細心の注意を払います。

会議の発言をAIで文字起こしして、テキストマイニングという分析手法で解析したところ、「あれ、これ、それ」といった指示代名詞を使うリーダーが多いことに気が付きました。

「あれ、うまくいかなかったのはなぜだ」
「これが分かっていないから達成できないんだ」
「それはそれとして、あれで言ってたのは……」

長年同じチームにいて状況を完全に理解し合っているメンバーであれば理解できることもあるかもしれません。

しかし、メンバーも状況も変わりますので、伝わらないケースが多いのが事実。自分は伝えたつもりでも、相手には伝わっていないのです。

指示代名詞を使った方が発言時間を短くできますが、伝えたいことが伝わらないと意味がありません。

この「伝える」と「伝わる」の差が、チームの成果に影響を与えるようです。

各社で成果を出し続ける優秀なリーダーは、「あれ・これ・それ」を使う頻度が、一般管理職よりも38%少なかったです。

越川慎司『17万人をAI分析してわかった 最強チームの条件を1冊にまとめてみた』(大和書房)

優秀なリーダーは、メンバーが理解していなかったり、自分の思いが伝わっていなかったりすると、話し方を柔軟に変えていきます。

定例会議でメンバーたちに伝わっていないと感じ取ると、メンバーたちを責めるのではなく自分の説明の仕方を変えていました。

そういった柔軟な変更の結果、指示代名詞を使わなくなったと推察されます。

相手の反応を見ずに、いつまでも「あれ・これ・それ」を繰り返す人は、優秀なリーダーになりにくいのではないかと思います。

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