答えづらい質問をするときはどうしたらいいか

【答えづらい質問】
三流は、ストレートに質問し、二流は、詳しく話してから質問し、一流は、どうやって質問する?
桐生稔『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)

「突然ですが、あなたは脱炭素についてどう思いますか?」

その道の専門家なら別ですが、よくわからないことを質問されると、質問された方は非常に苦痛を感じます。なんと答えていいかわからないからです。しかも、相手に「わかりません」と言わせてしまうのは、相手を傷つける可能性もあるので賢明ではありません。では、「脱炭素とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスである二酸化炭素の排出量をゼロにしようとすることで(かくかくしかじか……)、どう思いますか?」と、詳しく説明されたらどうでしょう?

先ほどの質問よりは答えやすくなるかもしれませんが、明確な答えを持っていないなら、いずれにしろ答えづらいですよね。普段の生活で、突然、脱炭素のことを質問されることはないと思いますが、同じような例は職場でも起こります。

「何か斬新なアイデアはない?」
「お客様を増やすにはどうしたらいい?」
「チームの結束を高めるには何をすべきだと思う?」

そんなザックリした質問を突然されても、当たり障りのない答えしか見つかりません。にもかかわらず、「そんな意見しかないの? もっとちゃんと考えてよ」などと叱られたら、たまったものじゃありません。ですから、答えづらい質問は、答えやすい質問に変換する。これが鉄則です。

「枕詞」をつけることでハードルを下げる

答えづらい質問をするときの具体策。それは、枕詞です。「なんとなく」「仮に」「イメージ」「少し」「もし」といった曖昧な言葉を、あえて差し込んでしまうのです。

「次回会議で斬新なアイデアを提案したいんだけど、なんとなく思いつきそうなものはある?」
「仮に売上を上げるとしたら、どんな方法が想像できそう?」
「チームの結束を高めるために何かやりたいと思っていて。何かイメージできるものはある?」
「最近、課の様子はどう? 少し感じることってある?」
「もし思いつけばでいいんだけど、やめたいな~と思う習慣はある?」

「明確に答えて!」とは言われていないので、質問された方も答えやすいです。「もし思いつけばでいいんだけど……」と言われると、答えることを強制されていないため、心が楽になります。心が楽になるからこそ、素直に答えられるわけです。

答えづらい質問をするときは、枕詞を使って間違ってもいい、答えられなくてもいいという逃げ道をつくり、答える相手のハードルを下げること。そうすることで安心感が生まれ、答えてもらえる確率が高まります。ちょっとした枕詞ですが、言葉の端々まで注力できるのが一流の力量です。

一流は、枕詞を使って質問する
⇒回答のハードルを下げて質問する
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