ビジネスシーンでの「質問」は、どうするのが正解か。話し方講師で心理カウンセラーの桐生稔さんは「『質問が3つあります』などと最初に質問の数を伝えるべきだ。『そんなの当たり前でしょ』と思う人が多いだろうが、実践できている人は決して多くない」という――。(第1回)

※本稿は、桐生稔『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

資料を見ながらビジネスの話し合いをする2人
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質問するときはまず数を伝えるべき

【複数の質問をする】
三流は、ダラダラと質問し、二流は、「いくつか質問します」と伝え、一流は、最初に何を伝える?

質問したいことがたくさんある場合、一流は「質問が3つあります」という風に、最初に質問の数を伝えます。おそらく「そんなの当たり前でしょ」と思う人が多いと思います。

たとえば、「エクセルの計算式について質問したいことがありまして、数式が崩れてしまって直せなくて、データが重いせいかすぐに固まってしまって、なぜかコピーするとセルがずれてしまい……」なんていろいろ質問されたら、いったい何に答えればよいのか混乱してしまいますからね。複数質問したいことがあるときは、先に質問の数を伝える。これは、ビジネスシーンでは礼儀みたいなものです。

ただ、言うは易く行うは難し。それを徹底することは意外と難しいのです。なぜなら、ビジネスシーンでは「急に質問しなければいけない」「早く質問しないと聞くべき内容を忘れてしまう」など、質問の数をいちいち整理する時間がないことも多いからです。プロのインタビュアーですら、プロ野球の監督へのインタビューなどで、よくこういう質問の仕方をしています。

「代打を送る選択肢はなかったですか? そこに迷いはなかったですか?」
「選手を奮起させるときの言葉を教えてほしいのと、それから不調の選手にはどういった声をかけているのかも教えてください」
「監督は緊張しなかったのですか? どうやって自分の気持ちをコントロールしていたのかも含めて教えていただけないでしょうか?」

このように、最初に「○点質問があります」と伝えずにいくつも質問されると、相手はいつまで質問が続くのかわからず、答える準備ができません。