質問はいくつもつなげず簡潔に

また、総理大臣による記者会見でさえ、記者からこんな質問の仕方が頻発しています。

「教育費についてはどのような施策を考えているのか教えてください。また財源についてもお答えください。それから使い道を限定する教育国債について……」
「諸外国の対応についてどう評価されているのか伺いたいのと、対応における懸念についてもお聞きしたいと思います。それからもう一つ……」

同じようなことは職場の会話でも起こっています。複数質問するときに、「質問が2つあります」「3つあります」と、質問の数を伝えることを徹底している人は意外と少ないのです。だからこそ、これも訓練が必要です。訓練というとハードに聞こえるかもしれませんが、質問するときのルールを少し決めておくことです。

●ルール1:質問と回答は一対一で
「○○と○○と、あと○○について」と五月雨式に質問しないこと。一つ質問して、一つ答えてもらう。答えてもらったらまた次の質問へ。いろいろと質問したくなっても我慢して、一つずつ答えてもらう。そうすれば相手も混乱せずに済みます。

●ルール2:質問は3つ以上しない
とはいえ、まとめて質問したいときもあります。そのときは3つまでと決めておくこと。「3の法則」というものがよく語られます。「世界3大○○」や「日本3大○○」など、3という数字は覚えやすいというものです。人間の脳のキャパシティ的にも3つまでが記憶に残りやすく、それ以上になると急に覚えづらくなるともいわれています。質問は3つまでと決めておく方が、相手の脳のキャパシティ的にも優しいです。

資料を示して説明をする人
写真=iStock.com/PrathanChorruangsak
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「質問は多くても3つまで」と決める

●ルール3:質問数をカウントする
ルール1「一つの質問に一つの回答」、まとめて質問したいときはルール2「質問は3つまで」とする。とすれば、複数質問したいケースは自動的に「2つか3つ」になります。「いくつか質問がありそうだ……」と感じたら、まず「2つか? それとも3つか?」と自身でカウントしてから質問してください。

この3つのルールを徹底することで相手が質問の内容を整理する手間を省くことができます。常に相手が答えやすいよう気遣って質問する。相手をベースにコミュニケーションを設計するのが、一流の思考回路です。

一流は、いくつも質問する前に質問の数を伝える
⇒複数質問するときのルールを決めておく