肩書を失ったとき、あなたに残る実力はあるか?
フリーランス人材ともなれば、自ら課題を見つけ、解決していく力が求められます(本来は、会社員にも求められるはずの力なんですけどね……)。その組織が何を望んでいるのか、時には言語化できない要望までをも察知して、提案していく機転や想像力が求められているのです。
要するに、「口を開けて餌を待っているヒナ状態の人はいらない」。これが企業にとっての本音であり、目の前の応募者が、「ヒナ」なのか、「独立したフリーランス」なのかを、採用者は見極めようと目を凝らしているのです。
大きな組織では、上司から「これをやってくれ」とToDoリストを渡され、それをこなしているだけでも“仕事”はできるかもしれません。
組織の仕組みがよくつくられていればいるほど、誰もがいっぱしの仕事をできているような錯覚にも陥ります。大企業の看板や肩書さえあれば、「会いたい」と言って断られることもないでしょう。企業名を出すだけで、相手は恭しくあなたをもてなしてくれるかもしれません。
でも、それはあなた個人の実力ではありませんよね。組織の看板や肩書をすべてはぎ取ったのちに、あなたには何が残るでしょうか。
「○○会社の○○部長」の名刺を失ったあなたに会おうとする人はいますか。あなたに仕事を任せようという人は、どれだけいるでしょうか。厳しい言い方になりますが、「企業に頼らず独立独歩で生きていく」とはそういうことです。
スキルの可視化が不安を和らげる
もし、ご自分の職務経歴書をしっかり書いたことがないならば、まずご自分のスキルの棚卸しから始めてみてください。
「自分は何ができて、何が好きで、何がまだ不得意なのか」。それを知ることは、実は安心にもつながります。「自分は転職なんてできない」と不安を抱いている間は、見えない幽霊と戦っているようなもの。その不安が可視化されれば、次の対策も立てられます。
まずは「5W1H」を意識して、「いつ・どこで・誰と・どんなプロジェクトを、なぜ、どのように」遂行したのか、書き出してみてください。その過程で、「意外と俺は何もしていなかったな」となるのか、「意外と重要なポジションを担っていたのではないか」と気づくか、それはドキドキする時間でもありますね。
もしかすると、「自分はスキルがない……」ことに気づくのが怖いという人もいるかもしれません。でも、ここで自分と向き合う時間をつくることが、重要なスタート地点になります。
もし今何もないように感じたとしても、しっかりした企業に何年も勤めていれば、何かしらは役立つスキルを持っているはずです。周囲の人に客観的な意見ももらいながら、ぜひ挑戦してみてください。