経営再建へ“茨の道”はつづく
今後の展開次第で、東芝の今後の事業戦略がわが国経済に明るい兆しをもたらすことも考えられる。熊本県菊陽町では台湾積体電路製造(TSMC)などが、北海道千歳市では次世代半導体の製造を目指すラピダスが工場建設に着手し、近隣地域で需要が盛り上がった。
東芝が経済安全保障面で重要性の高まるインフラや通信機器の製造拠点などを国内で建設する機運が高まれば、同社の成長期待だけでなく、経済にもプラスの影響がもたらされるはずだ。
これから、東芝トップの意思決定の重要性は一段と高まる。東芝のトップは、投資ファンドを運営するJIPとの連携を強化し、出資企業とのより円滑なコミュニケーションを強化しなければならない。その上で、ヒト、モノ、カネをより成長期待の高い分野に再配分し、収益を獲得できる分野を拡充することが求められる。
先端分野での技術を最大限に生かす意味で、東芝の再建は日本経済の将来がかかっている案件でもある。経営者がその役割を理解し、発揮して再建を成功に導くことを祈りたい。