東芝の経営者は何をすべきだったか

債務超過から脱し、上場を維持するために、東芝は公募増資を実施した。モノ言う株主が増資に応じたことによって、株主との利害調整の難しさは増した。上場を維持することも難しくなった。経営は失敗した。

経営者の役割とは、既存分野から成長期待の高い分野にヒト、モノ、カネを再配分し、無理なく、長期にわたって収益を増やすことと定義できるかもしれない。成長戦略をめぐり株主などと考えが異なる場合、迅速に納得を取り付けられるよう説明責任を果たす。

その上で、組織の士気を高めつつ、最先端分野での成長機会を見出すセンスを持つ人材を発掘し、後継者を育成する。そうした経営者の役割、責任のまっとうが、企業の社会的な責任を果たすために欠かせない。東芝はそれが困難になり、破綻に近い状態に陥った。

東芝デジタルソリューションズのシリコンバレーオフィス
写真=iStock.com/Sundry Photography
※写真はイメージです

“オール日本株式会社”のような企業体になる

今後、東芝は上場廃止になる見込みだ。経営再建は新たなステージを迎えた。上場の廃止に伴い、東芝は多くの株主の目にさらされなくなる。

一時、モノ言う株主は東芝株の3割を取得したとみられる。そうした株主は今回のTOBに応じたようだ。上場廃止をきっかけに、経営陣は、これまでのように一部の株主との利害調整にエネルギーを割く必要性は低下するだろう。それは経営の改革を加速するチャンスだ。

また、JIPは、わが国を代表する主要企業約20社から出資を取り付けた。事実上、東芝は、わが国主要企業連合が主導する“オール日本株式会社”のような存在になるといってもよい。非上場化のメリット、出資企業の協力を生かすことによって、思い切った施策を打ち出せる可能性は高まる。半導体などわが国の産業政策が修正されたことも、東芝にとってプラスだ。