企業が社会や大衆とともに豊かになる方法

フォードは自動車産業を世界規模で成立させ、技術や機械好きの青年は世代を超えて記憶される大企業家に上り詰めました。彼の自伝である『藁のハンドル』には、彼の経営者としての哲学、世界や社会をどう見ているかの視点が惜しげもなく披露されています。

その文章には、合理性の徹底追求とともに、社会や大衆とともに豊かになる方法を模索していく、型破りで新しい起業家の先見性が読み取れるのです。

「道義とは、健全な仕事を最上の方法で行うことである」
「余暇の創造こそ、産業の使命」

(ともに同書より)

フォードが説いた「リーダーになるべき人間」

フォードの自伝では、リーダーとは産業デザインが上手い人間でなければいけないと指摘されています。だれが、どのように働き、どんな形でコストを削減して、大衆に満足してもらえる商品を成立させるか。この設計が巧みで効果的であるほど、低コストでよい製品を生み出せる上に、労働者に高賃金を支払えるからです。

もう1点、フォードの自伝から学びたいポイントは、彼の視野の広さでしょう。大衆、労働者、消費者などの一連の登場人物は、さまざまなところでつながっている。その連環に効果的に働きかける企業・サービス・製品の設計こそが、大企業の繁栄を持続させるのだということを、彼の自伝は教えてくれているのです。

ヘンリー・フォード
フォード・モーターの創業者。1908年に発表したT型フォードが大ヒットし、世界で累計1500万台以上も生産された。
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