自分とは真逆のタイプでも不思議とうまくつきあえる

“関心を寄せる”とは、何も「好きになろう」という意味ではありません。

苦手だからといってその人の言動を見て見ぬふりをしていると、何も知ることはできないし、対処法もわかりません。

接触するのが避けられない相手なら、あまりいいやり方ではないように思います。

実際、私も勤めていたときの上司が、自分とはまったくタイプの違う人で、本当に苦労しました。

そこで、その上司の取扱説明書をつくるべく観察し、関心を向けてみると、不思議とうまくつきあえるようになったのです。

お酒の好きな人だったので、ちょっと仕事でもめたとしても、

「今日の夜、一杯どうですか?」

と誘うと「おお、行くか!」と機嫌を直してくれましたし、ビールを飲めば、

「まあ、俺も悪かったよ」

といった一言をくれたものです。

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最初はお互いを遠ざけていましたが、私が関心を寄せたことで、上司の態度もいつの間にか険悪なものではなくなっていきました。

もちろん、あなたの苦手な人とも、同じようにうまくいくとは限りません。

ただ、特に仕事の関係者など苦手だからと避けてはいられないのなら、

「この上司は、午後になると機嫌が悪くなるから、重要案件は午前中に持っていく」
「この人は野球好きだから、野球関連の話題を持ちかけて機嫌がよくなってからのほうが、頼みごとを引き受けてもらいやすい」

といった対処法――取り扱いの方法、つまり「コツ」がわかっていると、「ムダなエネルギー」をかけずに済むことも多いのです。

“トリセツ”づくり、やってみると楽しいのでおすすめですよ。

なにも“仲良し”になる必要はない

人間関係の問題というのは、「仲良くなること」をゴールにしてしまうと、とても難しいものになります。

そうではなく、

「人間関係にまつわるストレスや悩みを限りなく小さくしていく」

ということを目的とする。

そうすれば、あまり苦しまずに済むように思うのです。

すべての人間関係がうまくいく必要などないんじゃないか、と私は思っています。

たとえば、月と地球は、多少近づいたり離れたりしながらちょうどいい距離感を保っています。

ここに別の力が加わって月が一度でも遠く離れてしまうと、もう元の位置に戻ってはきませんし、地球もバランスを崩してしまうといわれています。

宇宙の星々は、適度な距離感を保ちながらバランスを取っているわけです。

人間関係も同じです。ある人ととても近づくこともあれば、距離ができて疎遠になることもありますし、その間、別の人と親しくなることもあります。

それでバランスが取れているなら、たとえ合わない人、苦手な人、離れてしまった人がいても、悲観することはないんじゃないか、と思うのです。