トイレや公共交通機関、食事は日本の財産

台湾や韓国がGDPで日本を抜いたとしても、目の前の脅威に軍事費をそれなりに使わなければなりません。そうした制限がある中で社会インフラを整備するのは、なかなか大変なことです。

彼らに、日本が辿ってきた道を教えて、日本よりもさらに効率良く実践してもらうことで、インフラ整備などが進んでいくはずです。

日本型の暮らしは、広い家ではなくとも快適ですし、トイレも清潔。どんな場所でもだいたい鉄道やバスなどの公共機関を使えば移動できるし、食事もおいしい。

こうした日本の都市インフラや快適な家のシステムを輸出できるのではないかと思います。かつて、元都知事の石原慎太郎氏が「日本の水道システムはすごいから、システムごと海外に売れるんだ」とおっしゃっていましたが、まさにその通りです。

安倍元総理も日本のインフラを「質の高いインフラ」と呼んでおられましたが、こういうものを日本の財産と捉えて、海外に日本型生活モデルを売っていくことはできないのだろうかと感じます。その先には、生活面で「JAPAN as No.1」と言われる時代が来るかもしれません。

日本的な生活に憧れさせて、ビジネスにつなげる

今後、日本的なインフラや暮らしやグルメなどを含めて、世界の人が「これは良い」と思ってくれているものをどんどん海外に輸出して、インフラビジネスを発信すれば、新たなビジネスになるのではないかと思います。

上念司『経済で読み解く地政学』(扶桑社)

石川県には「加賀屋」という有名な旅館がありますが、2010年に「日勝生加賀屋」として台湾に進出。現地で高い人気を誇っています。台湾の加賀屋に行った台湾人が、あまりのホスピタリティや施設の完成度に感動してファンになり、「日本の加賀屋にも行きたい」と石川県にある加賀屋の本店に大勢押し寄せています。

加賀屋のようなシステムが台湾で人気を博して、日本に観光客を呼ぶ起爆剤になっているのであれば、質が高くて快適で日本的な生活を憧れさせるだけではなく、「あなたの国でも、日本のような清潔で快適なインフラが体感できますよ」と売り込んで、輸出することもできるでしょう。

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