ボーナス含む年収が上がらなければ個人消費は先細る
1つのサンプルとして、大阪シティ信用金庫が取引先企業に調査した「中小企業の2023年夏季ボーナス支給予定」(2023年6月22日)を紹介したい。
1030社の回答の企業のうち、夏のボーナスを支給すると答えた企業は59.5%。昨夏に比べて0.4ポイントも減少している。支給しない企業40.5%のうち、小売業の65.8%、運輸業の50.0%が支給しないと答えている。世の中が賃上げで騒いでいる一方で、賃上げやボーナスに無縁な中小企業も多いのが実態だ。
しかもボーナスを支給するにしても、その金額は大企業に比べて大きく見劣りする。
1人あたりの平均支給予定額は29万9957円。最も低いのは小売業の22万7439円。規模別では従業員50人以上が約34万円、20~49人が約30万円、20人未満が約27万円。50人以上は昨年夏比15.8%増であるが、20人未満はマイナスになるなど、中小企業の間でも格差が拡大している。
4月分の厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、物価を考慮した労働者1人あたりの実質賃金は前年同月より3.0%減少した。賃上げ効果は5月以降に出てくると言われていたが、5月の実質賃金も前年同月比1.2%減となり、14カ月連続のマイナスとなった。
中小企業の賃上げやボーナス支給の実態を見る限り、物価高によって可処分所得は減少し、生活が苦しい状況は今も変わってはいない。ボーナスも含めた年収が上がらなければ、節約や買い控えの傾向が続き、個人消費も先細ることになる。
結局、外国人旅行客のインバウンド需要に頼らざるを得ないのが日本の現実だ。