書類選考で落ちる人が書いていること
具体的に見ていきましょう。
皆さんが転職活動で最初にする通り、企業の採用ニーズは転職サイトや自社ホームページに掲載された求人情報の「業務内容」「必須要件」「歓迎要件」「求める人物像」に記載されています。今回は以下の求人情報をサンプルに使います。
■中堅部品メーカーA社(本社:神奈川県、売上高:300億円、従業員数:700人)
募集ポジション「経理財務部長候補」
年収:800万~1200万円
●業務内容
ある特定の金型で高い技術を持つ老舗部品メーカー会社が経営体制刷新に伴い経理財務部長候補を求めます。オーナー家から投資ファンドに株主が移行し、外部から新社長が着任。その社長と共にこれからの同社の管理部門をマネジメントいただける方に参画いただきたいと考えています。若返りも図った同社の、ここからの成長を支えていただける幹部候補の参画を期待します。
●必須要件
経理財務部長として、財務・経理・経営企画の統括・推進で十分なご経験とご実績をお持ちの方
●歓迎要件
・製造会社での経理財務部長のご経験をお持ちの方
・管理本部長として人事総務、法務、情報システムも包括してマネジメントしたご経験をお持ちの方、歓迎
●求める人物像
・論理思考力にたけた方
・社員の業務コミットメントを高められる方
・自ら現場に入り込んでいき、社員に直接働きかけるコミュニケーションスタイルの方
人材エージェントやヘッドハンティング会社が公開するクライアント企業の案件として、かなり一般的なレベルの情報です。
この、中堅部品メーカーA社・経理財務部長候補の求人に対して、多くの方々がアクションされるのが、
・自分は経理財務をやってきた
・勤務地が通勤可能県内だ
・年収条件が合う、あるいはいまよりもよい
ということで、求人情報をよく読まずに、別の企業用に書いていた職務経歴書を手直しして、即エントリー、送信することです。
早いほうがいいに決まっている、うまくいったやつを流用すればいい、足りないことは面接で話せばいい……。いろいろ思うところはあるのでしょうが、先に述べた3つのステップの(2)を満たしていません。
このレベルの判断でエントリーして職務経歴書を送ったとしても、書類で落とされてしまうでしょう。
肩書だけでは何も伝わらない
では、職務経歴書はどのように書けばよいのか?
例えば今回の案件であれば、「私は経理財務部長を務めていました」だけでは不十分です。
また、「中期経営計画策定3年、月次決算取りまとめ10年、財務リポート5年、マネジメント7年」というように、担当したことのある役割ミッションの項目(と経験年数)だけを書き連ねるのも、ミドルシニアクラスに限っていえば失格です。
実績について、社内評価を記述する人がいます。社内評価とは「売り上げ達成率150%で、当該期間中のMVPを受賞しました」「~を提言し、その年の社長賞を獲得しました」というようなものです。
実績は素晴らしいのですが、これらを応募先企業の社長や経営陣、人事部長が見て、「おお、すごいですね。ぜひ採用したい」とは思ってもらえないのは確実です。
相手先企業が評価するのは、「なぜ、売り上げ150%を達成できたのか」「なぜ~を提言できたのか」といった、それら実績の背景にあるあなたの考え方や行動の仕方などのプロセス部分です。