転職面接で、「希望給与は?」「残業できるか?」などの、答えにくい質問をされた場合は、どう答えたらいいのか。キャリアカウンセラーの中谷充宏さんは「面接官は、『御社の規定に従います』『24時間365日体制で頑張ります』という答えを求めているわけではない。質問の真の意図をくみ取り、説得力のある理由を説明しながら自己PRにつなげてほしい」という――。(第2回/全6回)

※本稿は、中谷充宏『20代~30代前半のための 転職「面接」受かる答え方』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

採用面接
写真=iStock.com/Ralf Hahn
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希望する給与額を教えてください

【面接官が知りたいのはココ】
「御社の規定に従う」を期待しているわけではないよ
求人情報の内容を元に、具体的な根拠に基づいて希望してほしい

好きな額を言って良い、ということではありません。

まず現職(前職)と応募企業の仕事内容を比較するなど、適正に算出する必要があります。

また、求人情報の中にきちんとターゲットプライス(例.月収28万円~40万円)が表記されている場合は、この範囲で答えることが必須になります。

そしてここは現職(前職)から見て、現状維持、減額、増額のどのパターンであろうとも、なぜその金額なのか、明確な理由説明が必要になります。

たとえば、現状が年収400万円で希望年収を600万円とした場合、「前職退職後に、米国公認会計士資格を取得したので、これに見合った金額を希望します。私と同年齢の資格者の平均年俸が620万でしたので~」と、客観的な根拠を示してください。

なお、「御社の規定に従います」は、「最低限の自己主張もできない人」と見なされる危険性があるので、筆者はあまりおすすめしません。

たとえばこういう人の場合

30歳女性、大卒。新卒入社した会社で勤務中。今回は2社目の転職で、同業種・同職種への応募。

NG!
求人情報の下限の金額は避けたいですが、御社規定に従います。

↑はっきりしない回答でお茶を濁すより、きちんと希望額を伝えましょう。

OK!
求人情報に掲載されていた30歳モデル年収の550万円を希望します。
というのも、現職では年収ベースで500万円でしたが、今回店舗マネジャー候補職ということで、管理職の立場に就くため現職よりも重責を担うこと、並びに販売業務だけでなく、スタッフの教育担当、シフト管理といった店舗マネジメント業務も担当することになり、業務範囲も広がるためです。
ただし、御社の私に対する評価や、規定があることも重々承知していますし、私は御社のこの仕事に魅力を感じていて、御社で働きたい気持ちが優先です。
この希望金額に固執することなく、幅を持って柔軟に対応させて頂ければと思います。

↑希望金額の算出根拠をきちんと説明した後に、希望金額に固執しない柔軟な姿勢もPRできていて、理想的な回答になっています。