国民を無視し続けると、しっぺ返しが待っている
しかし、これについても、どこまで行けば国民の不安を払拭することができたかということについて、明確な基準があるわけではなく、かつて自民党が政権を失う前提となった「消えた年金問題」のようにボディブローのように政権への信頼を失わせていっている。岸田氏は「パンドラの箱を開けた」と言ってもいい。解決できない課題を抱えてしまったのではないだろうか。
さらにその混乱に拍車をかけているのが、デジタル化担当相の河野太郎氏の7月2日の2026年中のデザイン変更に合わせた「マイナンバーカードの名前の変更」を巡る発言だろう。これは「名称変更による問題隠し」ともとられる発言として国民に受け止められてしまっている。
さらに国民の側から新たな動きも出ている。「マイナンバーカードの自主返納」である。このことは、直接的に岸田政権の政権批判につながる重要な問題を提起する動きとして見過ごしてはならない。
こうしてみれば誰のための問題か、が問われているといってよい。岸田氏には国民に寄り添う政策実践が求められる。さもなければ遠くない時期において国民の信を問う場面で、岸田氏は、国民からしっぺ返しを食らう可能性があるだろう。