マイナカード問題をめぐる世論の反発
マイナカードをめぐる問題は、岸田内閣の支持率を急落させた。
単なる事務手続きのミスであると、高をくくっていた政府にとって、この問題に対する世論の反発は想定外だろう。
2007年に沸騰した「消えた年金問題」を彷彿とさせるが、いったい、なぜ、世論はこの問題にここまで反発するのだろうか。
ここまで広まった理由は「マイナポイント」
そもそも、「マイナカード」の「マイナ」とは何か。
「マイナンバー」を略したものだが、英語としてはもちろん、日本語としても、一度聞いただけでは耳に残らない。
それなのに、ここまで広まったのは、ひとり最大2万円分の「マイナポイント」がもらえるからだろう。
おそらく世界最大のポイント大国である日本でも、ここまで大盤振る舞いな「ポイント」は空前絶後と言ってよい。足元を見られた、とか、お金に目がくらんだ、と言われても、背に腹は代えられない。
かくいう私もまた、いそいそと家族3人分のポイントを申請し、公金受取口座は、3人とも別々にした。
確定申告をはじめ、マイナカードは便利だと感じる上、健康保険証としての利用も、これまでの紙ベースに比べれば、はるかにマシではないかと思う。そんな私でも、「マイナカード」という略し方は、しっくりこない。
「マイナカード」を英語で言うとどうなるのか…
たとえば、「あなたのマイナンバーカード」を英語で言うと、どうなるのか? 「Your My Number Card」となるのだろうか?
総務省のサイトでは、日本以外の国籍の方むけに「Individual Number Card」と紹介している(*1)。
直訳すれば「個人番号カード」である。「マイナ」の音感がかもし出す、「まいど」と似た気楽なニュアンスはない。いかにも行政のことばらしく、「個人」を見分けるため、という目的に沿って、冷たいというか淡々としている。
日本語のほうを「マイナンバーカード」という、いかにも和製英語っぽい造語ではなく、英語と同じく「個人番号カード」にしていれば、「マイナ」のような間抜けな語感は必要なかったにちがいない。
なぜ、わざわざ「マイナンバー」を使ったのだろうか?
そこには、50年以上におよぶ歴史がある。