二階氏の「裏金」はトップクラスの3526万円
現在、国民の政治不信は頂点に達している。今国会の最大のテーマといってもよい「政治とカネ」の問題についても、与党から提示された案は、連立のパートナーである公明党との溝が埋まらず、自民党「単独案」ということとなった。
そもそもこの「裏金」については、安倍派だけに光が当たりがちであるが、二階派や岸田派といった他の派閥においても、パーティー券を巡り行われていたことが明らかだ。その中でも、今回不問に付されているが、立件された政治家を除いて最大の金額が報じられているのは二階派の領袖である二階俊博氏である。
党の調査によると5154万円の大野泰正参議院議員、4826万円の池田佳隆衆議院議員、4355万円の谷川弥一元衆議院議員に次ぐ多さであり、「裏金」の額は3526万円となっていた。
三男が「父の選挙区」に出馬した意味
二階俊博元幹事長の派閥の「裏金」事案の発覚の時の公設秘書であり、三男の伸康氏が5月17日、次期衆院選で和歌山新2区への出馬を表明した。日本政治におけるこの出馬の意味を考えるというのがこの記事の課題である。
この二階氏の三男の出馬表明には、「政治とカネ」の問題が大きな影響を与えている。自民党の派閥を巡るパーティー券の「裏金」にまつわる「政治とカネ」の問題は、岸田首相の「二つのサプライズ」を引き出した。
「第一のサプライズ」は、岸田首相による自民党の派閥の解体へと繋がる発言(2024年1月18日)であり、「第二のサプライズ」が、「政治とカネ」をめぐる現職首相の政治倫理審査会(政倫審)出席によって他の「裏金」議員の政倫審への出席を促した行動(2月29日)だ。
「第一のサプライズ」は、結果として「岸田派」だけではなく、「安倍派」、「二階派」と立件された派閥の解体を招き、その結果として、二階氏には、二階派という「派閥」の防護壁がなくなってしまった。
しかしながら、二階派の結束が、二階派が解散を決めた後も非常に強いものであることは、「第二のサプライズ」で明らかになった。「岸田派」の岸田首相に続いて、「二階派」を代表して政倫審に登壇した武田良太元総務相が「二階氏は一切、事務や経理などに関わることはなかった」と答弁したのだ。
〈参照記事〉
武田元総務相の弁明・質疑 政倫審(時事通信、2月29日配信)