仰天シナリオは、軍の撤退を条件に欧米と連携?
一方、ドンバス地方の親露派勢力司令官を務めたイーゴリ・ギルキン元大佐は、プーチン大統領がワグネルの「軍事的反乱」に遭う可能性があると警告した。
プリゴジン氏と敵対するギルキン氏はSNSで、「恥知らずで偽りだらけの彼の自己顕示欲」を批判しながら、返す刀で与党・統一ロシアを「詐欺師と盗人の党」と酷評した。「詐欺師と盗人の党」とは、反政府活動家、ナワリヌイ氏が2011年の下院選で使ったフレーズで、愛国勢力とリベラル派の接近を思わせる。
ギルキン氏は5月に新団体「怒れる愛国者クラブ」を創設。大統領選出馬も検討しており、右派勢力の政権離れが進む。
プリゴジン氏の仰天の政権シナリオは、欧米との連携とする見方が、ウクライナ紙「キーウ・ポスト」(3月5日)で報じられた。
欧州の政治活動家、ジェイソン・スマート氏は同紙で、「プリゴジンが権力を握る戦略的道筋の一つは、欧米の後ろ盾を得ることだ。彼が政権を握れば、ウクライナからのロシア軍完全撤退を条件に、ホワイトハウスの支持を得られるかもしれない」と述べた。
4月に流出した米機密文書は、プリゴジン氏が複数回、バフムトをめぐる取引をウクライナ側に持ちかけたとし、両者の接触を示唆していた。
米連邦捜査局(FBI)が逮捕状を出したプリゴジン氏と米国の接近はあり得ないものの、侵略戦争停止の一つのシナリオと言えるかもしれない。