アメリカの支援でも持ちこたえられない恐れ

アメリカ国防総省(ペンタゴン)から流出したとされる機密文書によって、ウクライナ戦争のショッキングな見通しが明らかになった。

SNSで拡散された一連の文書にはウクライナ軍の弱点が記され、ウクライナの防空網が5月下旬にも破綻し、ロシア機の侵入を許すおそれがあるという。ニューヨーク・タイムズ紙は4月9日、流出文書の詳細を報じた。

同紙によると文書は、NATOの支援状況やロシアのプーチン大統領による戦力投入の状況次第では、たとえアメリカが支援を継続しようともウクライナが持ちこたえられないおそれがあると予測している。

機密文書の真贋については、一部改竄かいざんが行われている可能性が指摘されているものの、アメリカ防総省は翌10日、資料に機密性の高い文書が含まれる可能性を認めた。NATOの支援を受け善戦しているかに見えるウクライナだが、予想を超えた厳しい状況が明らかになった。

2023年4月16日、ロシア・モスクワの救世主ハリストス大聖堂でイースター(復活祭)の礼拝に参加するウラジーミル・プーチン大統領
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
2023年4月16日、ロシア・モスクワの救世主ハリストス大聖堂でイースター(復活祭)の礼拝に参加するウラジーミル・プーチン大統領

制空権を守れなければ、国を守れない

ロシアはこれまでウクライナの制空権を掌握しておらず、これが、ウクライナが国土防衛に成功している理由の大きな要因となっていた。

米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は昨年10月、「ウクライナの空の支配に失敗したことは、ロシアの戦争戦略の重大な欠陥である」と分析している。