道の駅をプロデュース

最近では飲食店の運営だけではなく、社会活動にも積極的に参加している。

「長野は世界に誇るすばらしい魅力であふれているのに、地元の人ですら気付いていない。今すぐフランスのパティシエたちを積極的に長野に呼んで案内したいくらいです」(青木さん)

そんな思いから道の駅のプロデュースを始めている。長野県内には53の道の駅があるが、必ずしも地元の魅力を発信してない。提供しているメニューもラーメンやチャーハンなど、どこでも食べられるものばかり。「これはめちゃくちゃもったいない」と、お土産品やレストランのメニュー開発に協力している。

撮影=田中伸弥
「まだお話しはできないんだけど、進行中のアイデアはたくさんあります」と語る青木さん

なぜ会社を上場しようとしているのか

ANAの傘下を離れた後、青木さんは自身の願望を次々と実現し、勢いに乗っている。その姿を見て、「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」とコラボレーションをしたいと考えるブランドが続々と増えているそうだ。

これまで、ディズニーランドや伊藤園、明治など大企業とのコラボ企画を実現してきた。闇雲にさまざまな企業とコラボするのではなく、青木さんが「意味がある」と判断した企業とのみ協業している。ブランド認知度を拡大するとともに、ブランドを強化するのはさすがだ。こうした動きは、やはり経営責任を青木さん自身が持っていることが大きいだろう。

撮影=田中伸弥
イズミヤとコラボしたクッキー

2022年1月には長野県と連携協定を締結し、県内農産物のブランド開発などで信州ブランドをグローバルに発信していく活動も行っている。一介のシェフパティシエでは考えられない活動の広さだ。

直近の目標について、青木さんは会社の上場を挙げている。一軒のパティスリーから始まった個人店が立ち上げた企業が上場したケースを筆者は寡聞にして聞かない。そのことを青木さんに聞くと、

「上場したほうがお店の選択肢が増えるのはもちろんですが、さまざまな事業にもかかわりたいと思っています。例えば、パティシエのなり手を増やすための教育事業や人材派遣のようなこともしたい。僕は夢物語だと笑われようとも、やりたいことがあったら口に出します。上場はそのひとつです」と笑う。