頭部だけの遺体、押しつぶされた遺体、人々の悲鳴

別の女性乗客は、車内のトイレから出た瞬間、事故に遭った。米公共放送のNPRに対し、事故の瞬間「すべてが無秩序になりました」と語る。

「トイレから出ると、列車が突然傾いたんです。バランスを崩しました」「みんな折り重なるように倒れ始め、何が起きているのかショックで理解できませんでした。思考停止状態でした」。

事故時に車内で眠っていたという別の男性は、NPRに対し、衝撃で目が覚めたと語っている。目を開けた瞬間、手脚が折れ、顔が変形した乗客の姿が視界に飛び込んできた、と振り返る。

列車後方の一等車に乗っていた生存者は、CNNに対し、「ドアを開けた瞬間、痛みで泣き叫び、水を求め、助けを求める悲鳴が耳に飛び込んできました」と語っている。

車両が2~3階建ての高さで折り重なり、乗客は車体に押しつぶされ、血痕があちこちについていた。「想像を絶する傷を負った遺体がたくさんありました。胴体のない頭部を見たり、頭蓋骨が押しつぶされたり、列車にひどく押しつぶされた遺体を見ました。……恐ろしいことです」

写真=iStock.com/Tarzan9280
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携帯電話のライトを頼りに、事故現場に近づいていくと…

現地紙のインディアン・エクスプレスは、「ハウラー・スーパーファースト・エクスプレス」(衝突事故に巻き込まれた旅客列車)に乗っていた41歳男性の声を報じている。

午後8時30分ごろ。列車が突然停止して大きな音がなった。男性を含め、同車両の乗客の多くは、この時点では事故に巻き込まれたとは知らなかった。しかし避難のため降車が始まると、乗客は後ろの車両の一部が消し飛んでいることに気付いた。残った車両の一部も、大きく損壊していた。

男性は言う。「真っ暗だったので、携帯の懐中電灯の機能を頼りにして線路の上を歩き始めました。事故が起きた地点に近づくにつれ、線路に血まみれの死体が転がっているのが見えてきました。あの光景は絶対に忘れることができません」

インディアン・エクスプレス紙によると、脱線事故に巻き込まれた特急列車のなかには、110人の巡礼者が乗っていた。この男性もその一人だった。「線路のあちこちに死体が転がっていて、人々は助けを求め叫んでいました。これは私にとって最悪の悪夢であり、その光景は一生私を苦しめるでしょう」。

一夜明け、畑が広がるなかの事故現場は混沌こんとんとしていた。CNNは、ひしゃげた鉄道車両が窪みに転がり、ある車両は横転し、あたりには乗客の遺品が散乱していたと報じている。随所に血溜まりも見られたという。