山に登るとき、どんなことに気をつけたらいいのか。ノンフィクションライターの羽根田治さんは「日本には111の活火山があり、登山の対象になっている。最も重要なのは、いつ噴火に遭遇してもおかしくないという認識を持つことだ。2014年に起きた御岳山の噴火災害は絶対に忘れてはいけない」という――。

※本稿は、羽根田治『山のリスクとどう向き合うか 山岳遭難の「今」と対処の仕方』(平凡社新書)の一部を再編集したものです。

日本アルプスの乗鞍山から見た雪をかぶった御嶽山
写真=iStock.com/Taka Mountain Gallery
※写真はイメージです

50の火山が24時間体制で常時観測・監視されている

登山者に大きな被害をもたらす自然災害といえば、火山噴火を忘れてはならない。

多くの死傷者を出した2014(平成26)年の御嶽山の噴火は、記憶に新しいところだ。

現在、日本国内には111の活火山(おおむね過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山)がある。そのなかには、御嶽山のように登山の対象となっている山も多く含まれている。

この111の火山のうち、今後100年程度の中・長期のうちに噴火の可能性があり、その社会的な影響を踏まえ、「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある」として24時間体制で常時観測・監視している火山が50ある。さらにそのなかの硫黄島を除く49の火山(2022年3月現在)で運用されているのが「噴火警戒レベル」である。

これは、火山活動の状況に応じて、「警戒が必要な範囲」と、防災機関や住民等の「とるべき防災対応」を5段階に区分して発表する指標で、活動が活発化すれば噴火警報などを発表し、入山規制や避難などの呼びかけを行う。しかし、各レベルにおける火山活動の状況や住民らの対応方法の判定基準は、その火山がある地域によって異なる。各火山の現時点での噴火警戒レベルは、気象庁のウェブサイトの「火山登山者向けの情報提供ページ」で確認することができる。