死者58人、行方不明者5人…戦後最悪の火山災害
現地では、噴火直後から警察・消防・自衛隊の3隊が連携しての捜索・救助隊が展開された。しかし、噴火活動や火山灰、台風の接近、悪天候などによって難航し、10月16日、「山頂付近での降雪などにより二次災害の危険が高まった」として捜索は打ち切られた。この20日間の捜索・救助活動に携わった人員は、述べ1万5000人余りにのぼる。そして翌年の7月29日から8月6日にかけて再捜索が行われ、行方不明者1人が発見された。
この噴火による死者は58人、行方不明者5人、重傷者29人、軽傷者40人を数え、1991(平成3)年の雲仙・普賢岳の噴火(死者・行方不明者43人)を上回る戦後最悪の火山災害となった。死者の発見場所は、今回の噴火口の東側にあたる剣ヶ峰~王滝頂上の間に集中しており、その死因のほとんどが、噴石の直撃などによる外傷性ショックであった。
活火山に登る際にはゴーグルとヘルメットを持参する
火山噴火については、大雨や台風のようなわけにはいかず、予知は非常に難しい。火山噴火に遭遇しないためには、登らないのがいちばんなのだが、そういってしまっては身も蓋もない。大雪山、八甲田山、鳥海山、吾妻連峰、会津磐梯山、浅間山、草津白根山、妙高山、白山、富士山、九重山、阿蘇山など、日本には登って楽しい魅力的な活火山がいっぱいある。
先にも少し触れたが、気象庁は、国内の50の常時観測火山の活動状況について、最新情報をウェブサイトにて発表しており、「火山概況」「噴火警報・予報」「噴火速報」「降灰予報」「火山ガス予報」などをチェックすることができる。
別枠で「火山登山者向けの情報提供ページ」も設けられているので、対象火山に登る際には、事前に最新情報に目を通しておくといい。火山によっては、噴火警戒レベルのリーフレットやハザードマップ(火山防災マップ)も要チェックだ。ハザードマップは、防災科学技術研究所の「火山ハザードマップデータベース」のウェブサイトで検索できる。
実際の登山にあたっては、噴火に遭遇することを想定した装備も携行したい。噴石などから頭部を守るためのヘルメット、火山灰が目に入るのを防ぐゴーグル、火山灰の吸引を防ぐためのタオルは必携だ。また、御嶽山の噴火では、犠牲者や行方不明者の身元確認に手間取り、混乱を招くという事態が起きた。登山以前の準備として、登山届は必ず提出しておこう。