現代人がかわいそうなのは、貧しかった昔と違って豊かになりすぎたため、強烈に愛する人を持ちにくくなったことだ。しかし、「自分には愛する人がいない」と思っている人でも、過去をじっくり振り返って思い出してみてほしい。妻子だけでなく、社会に出る前にお世話になった恩師、友達。亡くなった人でもいい。次々と名前を書き出してみる。その中から、この人だけは喜ばせたいという自分にとって本当に大切な人=「神様」をつくってみよう。

たったひとりでいい。その人を喜ばせたいと思うことが心の支えとなり、感情脳を揺さぶり、モチベーションにつながる。感謝の気持ちもうまれるだろう。男性の脳は女性に比べて幼く、優秀な経営者でも、子どものように愛する女性に精神的に支えられてきた人が多いのだ。

感情脳を「快」にして仕事のモチベーションを上げるには、出力から再入力するのも効果的だ。子どもが初めてプールに入って「怖い」と思ったとき、危ないからとその子をプールから上げてしまったら、その子は一生、水が怖くて泳ぐことから逃げてしまうだろう。だから再入力、つまり行動してみることだ。

行動の中でいちばんいいのは異性に惚れること。実は、これこそ最も感情脳を刺激し、モチベーションを上げる方法なのである。それができなければ、感情脳を動かすために、ジョギングをしたり、映画を見にいったり、コンサートに行くなど外出することも効果的である。

感情脳を刺激することで脳は「快」の状態になり、苦しい仕事も苦しいと思わず楽しめるようになる。

能力開発研究室 サンリ
代表取締役会長 西田文郎
1949年生まれ。ビジネス界、スポーツ界におけるイメージトレーニングの第一人者。70年代から、大脳生理学と心理学を利用して脳の機能にアプローチする画期的なメソッド「スーパーブレイントレーニングシステム」を構築。日本の経営者、ビジネスマンの能力開発指導に多数携わり、その実績には定評がある。北京五輪では、金メダルを獲得した女子ソフトボールチームを指導した。
(構成=中島 恵 撮影=矢木隆一)
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