実態にあった法整備が必要
こうした問題を解決するために国際バカロレア日本大使で東京インターナショナルスクールグループの代表を務める坪谷ニュウエル郁子さんが提唱しているのが、「外国人学校法人」を作るということです。
学校法人となれば、補助金も交付されます。「外国人学校」に税金を投入することには反発もあるでしょう。ただ、筆者としては、無認可スクールの乱立に歯止めをかけるためにも、なんらかの法的な規制が必要だと考えています。そのためには学校法人化という選択肢も検討するべきではないでしょうか。
ほとんどの国がインターナショナルスクールに対して、法律をつくり規制を設けています。人口に占める外国人比率が高く、インターナショナルスクールが多いことで知られるシンガポールでも他国との二重国籍者に限るなどの学校ごとに規制があり、事前に教育省の承認が必要であるなど、誰でも入れるわけではありません(※7)。
かつてインターナショナルスクールには、文科省に遠慮して日本人は全生徒の3割に抑えるという暗黙のルールがありました。しかし、近年、これが崩れてきています。自然災害があると外国人の生徒は帰国してしまうため、経営を安定させるために日本人比率を高める学校が増えてきているのです。
現在、日本で最も規模が大きいインターナショナルスクールであるグローバル・インディアン・インターナショナルスクール(GIIS、東京都江戸川区)に至っては、日本人の占める割合は6割に達しています。ここを3割に戻し、歴史など、国の根幹にかかわる教育については日本政府の意向にも配慮してもらう法制度は必要だと思っています。
国際教育コンサルタントとしてインターナショナルスクールの日本校開校のお手伝いもしている筆者が言うことではないのかもしれませんが、なんの法整備がないままに「教育亡命」が進んでいく状況を考えなおす時期に来ているのではないでしょうか。
※7 一般社団法人自治体国際化協会「シンガポールのインターナショナルスクール誘致制度について」