文科省の管轄外の学校

にわかに増えているインターナショナルスクールですが、日本における位置付けはどのようなものなのでしょうか。

日本にインターナショナルスクールを具体的に定義した法律は存在しません。もともと外国の方が日本に転勤している一時期だけ子供を通わせる「外国人学校」という位置付けであるため、文科省は日本の学校としての法整備は行ってきませんでした。ですから国内にあるインターナショナルスクールのほとんどは学校教育法第一条で定められた一般的な学校、いわゆる「一条校」ではなく、専門学校と同じ「専修学校」(学校教育法第124条)、あるいは「各種学校」(学校教育法第134条)か、無認可で株式会社が運営するいわゆる「学習塾」と同じ形で運営されています(※4)

そのため、子どもをインターナショナルスクールに通わせるだけでは小中学校の義務教育を受けたと見なされず、日本の高校や大学への進学は困難です。また保護者は学校教育法に定められた「義務教育の就学義務」を果たさなかったとして、違反に問われる恐れもあります(※5)

ただし、2017年から施行された「教育機会確保法」(※6)がインターナショナルスクールの逃げ道になっています。教育機会確保法は不登校の児童生徒に一般的な学校以外の「普通教育に相当する教育の機会」を確保することを目指した法律です。つまり子供本人が「地元の公立校には行きたくない」という意志を示しさえすれば、その代替としてインターナショナルスクールに通っても就学義務違反には問えないことになっています。

※4 筆者が編集長を務める「インターナショナルスクールタイムズ」の調べでは、プリスクールが704園、小・中・高等学校が77校(2023年6月1日現在)
※5 文科省の見解「学齢児童生徒をいわゆるインターナショナルスクールに通わせた場合の就学義務について
※6 「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律

90年代以降、芸能人によってブランドが確立

このように国から正式な学校として認められていないインターナショナルスクールですが、グローバル化が進むなかで人気が高まっているのが実情です。ここでその変遷をたどってみたいと思います。

バブル崩壊前の1980年代には外国企業の駐在員が増える一方で、日本企業も積極的に海外に事業を展開していました。そこで外国人の子供はもちろん、親の海外赴任に備えて、もしくは海外から帰国してインターナショナルスクールで学ぶ日本人の子供も増えていきました。

90年代になると、東京の都心部でいわゆるプリスクール(主に英語で幼児保育を行う施設)が増えてきます。これは、わが子を国際人として育てるため、一般的な幼稚園ではなくプリスクールに入れ、そのままインターナショナルスクールの初等部に進学させようと考える家庭が出てきたためです。インターナショナルスクールは、慶應幼稚舎や青山学院初等部といった名門私立小学校に代わる選択肢になりうるという捉え方が出てきました。

その後、宇多田ヒカルさん(デビューは1998年)のようなインターナショナルスクールの出身者が活躍したり、わが子をインターナショナルスクールに通わせていることを公言する芸能人が増えたりしたことで、世間のイメージも「外国人だけが行く学校」から「自分たちでも(条件さえそろえば)通える学校」に変わりました。

タブレット端末を手に、小学生のクラスで生徒たちを見守る教師
写真=iStock.com/monkeybusinessimages
※写真はイメージです

とりわけこの10年ほどは、子供をプリスクールやインターナショナルスクールに通わせていることを、SNSで発信するインフルエンサーも増え、注目度や人気は高まっています。