便秘が続くと肌荒れが起きるメカニズム

見た目の印象を左右する重要なポイントのひとつが「肌」だ。

肌、つまり皮膚は、もともと身体の調子が反映されやすい器官なのだが、とくに腸には敏感で「肌は腸の調子を映す鏡」などといわれることも多い。

腸内環境が乱れると腸の粘膜でしっかり栄養分の吸収が行われず、全身に十分な栄養が行き渡らない。皮膚も“栄養不足”になってトラブルに見舞われやすくなる。

皮膚の細胞に栄養が足りないとターンオーバー(皮膚が古い細胞から新しい細胞に入れ替わる代謝のこと)に支障が出て代謝が滞り、やはり肌の状態を悪化させてしまう。

また、腸内細菌のなかでも善玉菌の代表格として知られる「乳酸菌」には、皮膚の角層に作用して水分保持をコントロールし、適度な潤いを保つ保湿機能があることがわかっている。きめ細やかな瑞々しい美肌は、良好な腸内環境によってもたらされているのだ。

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だが逆に、腸内の“治安の悪さ”もまた、すぐに皮膚の状態に反映されてしまう。腸内フローラのバランスが崩れてたくさんの悪玉菌がのさばる状態に陥ると、腸内の消化物を腐敗させて「フェノール類」と呼ばれる有害物質をつくりだす細菌が増えてくる。

このフェノール類は皮膚にとって実にやっかいな成分だ。フェノール類は腸粘膜から吸収され、血液に乗って全身をめぐるのだが、その多くは尿として体外に排出される。

しかし排出されなかった一部が皮膚まで到達し、そこで蓄積されると、表皮細胞に悪影響を与えて、皮膚のくすみや乾燥、肌荒れなどのトラブルを引き起こすのだ。

便秘になると肌荒れがひどくなる――この定番ともいえる肌の悩みは「便が大腸内に長時間とまどっている(便秘)と、便の腐敗が進んでフェノール類が生まれる」というメカニズムにその一因があるといえる。

「赤ら顔」の裏には小腸の細菌の増加がある可能性

さらに、本来細菌の数が少ないはずの小腸のなかで細菌が爆発的に増えすぎてしまうSIBOに罹患りかんしている人には「しゅさ(ロザケア)」が多い傾向がある。酒さとは、顔のほおや鼻、おでこや眉間といった部分に、紅斑(赤み)やほてりなどが生じる、いわゆる「赤ら顔」と呼ばれる皮膚疾患のこと。ダイアナ元イギリス皇太子妃やクリントン元アメリカ大統領なども酒さに悩んでいたことで知られている。

そして酒さによる顔の赤みの症状が見られる人は、そうでない人と比べてSIBOになっている確率が10倍近く高いという結果が得られている。また、酒さに悩む人の45~65パーセントはSIBOを併発しているというデータもある。