健康な腸なくして美肌はない

皮膚から盛り上がった赤い発疹に銀白色の鱗屑りんせつ(うろこ状の垢)が付着し、それがはがれ落ちる「乾癬かんせん」という皮膚疾患があるが、乾癬患者の21パーセントにもSIBOの併発が認められている。しかもその患者にSIBOの治療を施したところ、明らかに乾癬の症状に改善が見られたという。

ほかにも、中国の研究では、「脂漏性皮膚炎(小鼻周辺や頭皮など皮脂の分泌が多い皮膚に発生する炎症)」の患者にかなり高い割合で、SIBOをはじめとする腸内フローラの不調があったことも報告されている。

先の「便秘と肌荒れ」しかり「SIBOと皮膚疾患」しかり、腸の好調不調は皮膚(肌)の健康状態に大きな影響を与えている。これを、「腸皮膚相関」という。

腸皮膚相関が報告されている疾患は、前述した乾癬以外にも、ニキビ(尋常性ざ瘡)、アトピー性皮膚炎、じんましんなど多数ある。

健康な腸ないところに美肌なし。肌と腸には深いつながりがあることを覚えておいてほしい。

栄養が十分に吸収されないとパサパサ髪になる

外見に関する悩みで女性に多いのが「肌」なら、男性なら「髪の毛」――。かつて、髪の毛の悩みは男性の“専売特許”に近いイメージがあったように思う。

江田証『超一流の腸活術 最高のパフォーマンスを生み出すための食事法と習慣』(KADOKAWA)
江田証『超一流の腸活術 最高のパフォーマンスを生み出すための食事法と習慣』(KADOKAWA)

だが今や、髪の悩みに男女の区別などなくなってきている。薄毛や抜け毛だけではなく、コシや張りのない髪、ツヤのないパサパサな髪など、現代人の髪の毛の悩みは尽きない。

そして男女を問わず起こり得る「髪の毛にまつわるエトセトラな問題」の一因もまた、「腸内環境、腸内細菌」にあると考えられているのだ。

そこで指摘される原因は、肌のトラブルと同じメカニズム、つまり腸内環境の乱れによる栄養素の吸収機能の低下だ。

腸から体内に取り込まれた栄養素は全身に運ばれる。栄養素が十分に足りていれば、隅々まで行き渡るのだが、吸収が不十分で量に限りがある場合、当然ながら生命の維持に直接かかわる臓器・器官が優先されることになる。

髪や頭皮も大事な器官ではあるが、命にかかわるという観点では残念ながら優先度はさほど高くない。もし腸の不調で栄養吸収に支障が出れば“後回し”になるか、配分量が少なくなってしまう。そのため髪に十分な栄養が届かず、抜けたり、ツヤがなくなったり、パサついたりといったトラブルが起きてしまうのだ。

便秘や下痢の症状があると「爪」が変色したり、割れやすくなったりするのも同じ理屈だ。

病気を防ぎ健康を維持し健康長寿を達成するためにも、きりっとした姿勢や輝く笑顔を作り、肌や髪をイキイキとさせ、「見た目」という「第4の資産」を形成するためにも、腸内環境を整えることがいかに大切か、おわかりいただけたのではないだろうか。

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