緊張するとおなかが痛くなるのはなぜか。消化器内科医の江田証氏は「ストレスから来る腹痛は、脳が放出したホルモンにより腸のバリアが壊されて起こる炎症が原因だった。この症状の繰り返しに悩む人は多く、仕事を辞めざるをえない人も珍しくない」という――。
※本稿は、江田証『超一流の腸活術 最高のパフォーマンスを生み出すための食事法と習慣』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
通勤電車に乗るとおなかが痛くなる「途中下車症候群」
朝の通勤ラッシュで混雑するターミナル駅では、毎日のようにトイレの“個室”前に行列ができている――。都会で働くとくに男性のビジネスパーソンならば、こうした光景を目にしたことがあるだろう。
毎日、毎朝、こんなにも大勢の人が電車のなかで“催す”ものなのか。みんな一斉におなかを壊して下痢をするものなのか。おなかが大丈夫な人は不思議に思うかもしれないが、“大”をするために並んでいるスーツ姿のビジネスパーソンのなかには、下痢型の「過敏性腸症候群(IBS)」を抱えている人が大勢いる。
また、通勤電車に乗ると必ずおなかが痛くなって、何度も下車してトイレに駆け込む「途中下車症候群」や、大事なプレゼンや商談が近づくとおなかを下してしまうのも、IBSの人によく見かけられる傾向だ。
IBSは脳と腸の双方向ネットワーク(=「脳腸相関」)の「バグ」(コンピュータのプログラム上の不具合〈エラー〉や誤りのこと)によって引き起こされる、機能性消化管障害の代表格である。