若々しく健康そうな外見は「第4の資産」となる
近年、健康的な見た目や若々しく見える外見は「第4の資産」といわれている。
ちなみに第1の資産は、現金や貯金、有価証券、不動産などの固定資産といった「経済的資産」。第2は、その人が獲得してきた学歴や知識などを指す「個人的(教養的)資産」。第3は人生のなかで築いてきた人脈やネットワークなどの「社会的(人的)資産」を指す。見た目のよさや外見的魅力というファクターは、これらに次ぐ4番目の資産と考えられているのだ。
「見た目」にはファッションやメイク、アクセサリーや持ち物などを身につけることで得られる「装飾的な見た目」と、人柄や性格、心身の状態が外見に投影される「本質的な見た目」の2つがある。
腸内環境の悪化はときとして外見に顕著に現れる
もちろん装飾的な見た目も軽視できないが、人生における“資産”としてより重きを置くべきは後者の「本質的な見た目」である。なぜならそこには、その人の「健康状態」が如実に反映されるからだ。
見た目がいいのは、心身ともに健康であることの証し。つまり「第4の資産=見た目」には、豊かな人生に不可欠な「健康」という資産も含まれているのである。
実際、1972年から1973年に生まれた1037人のニュージーランド人を45歳までずっと観察した研究が2021年に発表された。この論文によると、ヒトの老化のスピードはみなが同じわけではなく、生物学的に1年に2.44年も歳をとる人がいるのに対し、1年に0.4年しか歳をとらない人がいることがわかった。これを「生物学的老化速度(PoA:Pace of Aging:ペース オブ エイジング)」と呼ぶ。
そして、このPoA、つまり、老化速度を速める要素のひとつに「見た目が老けて見えること」が挙げられている。つまり、見た目は寿命まで影響を与えることが明らかになったのだ(※)。
※出典:Elliott, Maxwell L., et al. “Disparities in the pace of biological aging among midlife adults of the same chronological age have implications for future frailty risk and policy.” Nature aging 1.3 (2021): 295-308.
そして、その見た目もまた「腸内環境」によって大きく左右される。腸の不調が外見にも現れてくるのだ。IBS(過敏性腸症候群)やSIBO(シーボ/小腸内細菌異常増殖症)は内視鏡検査などでは「見た目」に異常が認められない機能性疾患だが、腸内は異常なしでも、外見にそれらしき兆候が出てくることがある。
腸内環境の悪化や腸の不調というのは、ときに腸そのもの以上に、体の外側である「見た目」のほうに大きな影響を与えるもの。人生を豊かにしてくれる「第4の資産=健やかな見た目」を形成するためにも、腸の乱れを整える意識と取り組みが大切なのである。