これからは「スキル採用」の時代になっていく

加えて、日本の雇用制度の大きな特徴であった終身雇用は、すでに過去の話となっています。これからは、よりよい条件や職場環境を求めて転職していく積極性が必要になります。ただし、転職市場においては、何よりスキルが問われます。

たとえば、同じ20代半ばでも規模の大きい会社に3年間、正規雇用で勤めていた人と、就職氷河期に当たったためずっとアルバイトをしてきた人だと、後者はかなり不利になります。新卒一括採用がなくなれば、すべての若者が「スキル採用」の波に晒されます。しかも、会社に育ててもらいながらスキルを身につけることなどできないわけですから、ぼやぼやしていると一生浮き上がれない状況に陥りかねません。

アメリカで大ベストセラーになった書籍『サードドア』(東洋経済新報社)は、こうした状況に置かれた日本の若者たちに大きなヒントを与えてくれるでしょう。著者のアレックス・バナヤンは、人生には三つのドアがあると指摘しています。

その一つは、多くの人が並ぶ正面入り口。二つ目がVIP専用。そして、三つ目が自分だけに見つけられる抜け道となるドアです。

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自分だけの道としての「サードドア」

もともと親が資産を持っているような人は、人生においてもVIP用の入り口を使って楽々生きることができます。そんな特権を与えられていない多くの庶民は、混み合う正面入り口に並ぶしかないと思っているわけですが、実はもう一つドアがあるのです。

そのドアの存在に気づき、かつ上手に抜け道に出られるかどうかが、これからの競争社会で成功するためのポイントとなります。

あなたが、勤めている会社を辞めて広告代理店を立ち上げたとしましょう。どこかの企業に「仕事をください」と正面入り口から押しかけても相手にされません。相手にされないからと、ここで諦めてしまえばそれまで。成功する人は、抜け道を探す努力をしているのです。

たとえば、大手企業が多く入っているビルの近くにある飲み屋に通って、広報担当の社員と仲良くなる。たとえば、社長の講演会に行き、懇親会で直接自分を売り込む。特にコネがなくても、やり方はいろいろ考えられます。僕自身も常にサードドアを探し続けています。普通の人が疑問を持たず選んでいる道を進みたくはない。どこかにきっと、もっと楽しかったり、もっとラクだったりする道があるはず。そう考えてきました。

大学時代にプログラミングを学んで起業したのもまさに「サードドア」です。サードドアを探し続けるために1つルールとしているのは、「やらない言い訳を探さない」ことです。時間がないからとか、恥ずかしいからとか、あれこれ言い訳を探さないで、やるべきことをただ、すっとやってみる。そうやって、「自分だけの道」を見つけてきたのです。