考え方や知識をアップデートし続けている人は何をしているのか。立命館大学ビジネススクール専任教授の山本真司さんは「他者の『異質な部分』を探し自身に取り込むことで考え方の幅が広がる。自分と相手の考え方をベン図にして、共通集合を見つける作業をすると新しい結論が出てくる」という――。
※本稿は、山本真司『忙しすぎるリーダーの9割が知らない チームを動かす すごい仕組み』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
私が「意識して若い人と一緒に仕事をする」理由
私はなるべく若い人と一緒に仕事をするようにしています。スタートアップへ投資をしたり、大学院で若い人たちとも接点を持っています。
彼らと一緒に仕事をしていて楽しいのは、自分の経験に裏づけられ「正解」だと信じ込んでいた考え方や仮説が、若い人との触れ合いによって変わってくることです。つくづく、思い込みは怖いなと感じます。異質との触れ合いの重要性を感じる瞬間です。
しかし、「異質から学ぶ」などということは、余裕のある状況なら口にできても、日々業績のプレッシャーに追われ、上にも下にも気を遣いながら仕事をしているマネジャー層には、きれいごとにしか聞こえないかもしれません。
そこで、ちょっとした技術をお伝えしたいと思います。それが「ベン図法」対話術です。
異質な人の考えをうまく取り込むためのコツは、自分と相手との間の考え方の共通集合を探すことです。どんな人とでも、考え方が重なる共通集合は絶対にあるはずです。
それを見つけるために、相手の発想に耳をそばだて、かつ、どうしてそういう発想を持つに至ったのかの理解に努めます。
ただ、相手と自分の考えがいかに一致しているかを確認するだけでは、あまり意味がありません。本当に重要なのはむしろ「異質な部分を探す」ことなのです。