ダラダラの原因が職場の人たちにある可能性

私は責任転嫁があまり好きではありませんが、もう1つだけ指摘させてください。

それは「職場の雰囲気」です。もし職場の人たちが、そろってダラダラしているようなら、自分一人だけテキパキと行動するのは難しいでしょう。というのも、私たちは、一緒に働く人によって影響を受けてしまうからです。

職場にダラダラしている人がいると、周囲の人たちも同じようにダラダラしはじめます。

心理学では、この現象を「感染効果」と呼んでいます。自分でも気がつかないうちに、私たちは周囲の人と同じ感情、同じ行動をとるようになってしまうのです。

もしみなさんがダラダラしているのなら、その原因は、上司、先輩、あるいは同僚がダラダラしているからかもしれません。

私たちの気分が他人によって影響されてしまうことを示す研究を紹介しましょう。

アメリカ・カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のトーマス・サイ氏は、3人から5人で1つのグループをつくらせ、力を合わせてテントを組み立てるという実験をしてみたことがあります。

ただし、何人かのグループのリーダーには、事前にテレビのユーモア番組を見てもらい、楽しい気分にさせました。別のリーダーには、何の変哲もないドキュメンタリー番組を見てもらいました。こちらは比較のための条件(コントロール条件)ですね。

さて、テントの組み立て作業をしている場面を観察してみると、とても興味深いことがわかりました。

事前にユーモア番組を見て、楽しい気分になったリーダーに率いられるグループのメンバーは、リーダーのムードが感染したのか、お互いに笑いながら協力しあって作業をしたのです。

楽しい気分は、メンバーにも感染したのです。

転職後にキビキビと行動できる理由

この研究でわかる通り、私たちの心理というものは他者の影響を受けます。自分がダラダラしてしまうのは、「そういう人たちばかりの職場だから」ということも大いに考えられるのです。

転職をした経験がある人なら、この現象を体験しているかもしれません。

元の職場ではみんながダラダラしていたのに、新しい職場に移り、みんながキビキビ作業をしているとキビキビと行動できる自分になっているのに気づかされます。

写真=iStock.com/mapo
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逆のパターンとして、それまでキビキビと働いていた人が、転職したことによって職場の雰囲気が変わり、ダラダラしはじめてしまうこともあるでしょうね。

もしダラダラ人間から、キビキビ人間に生まれ変わりたいのなら、キビキビと働く人と友達になるといいですよ。一秒も時間をムダにせず、毎日充実した生活を送っているような人と付き合うようにするのです。

そうすれば、その人からの好ましい感染効果が働いて、みなさんもキビキビした人間になっていくでしょう。