7年目に入ってようやく成果が出てきた

2023年3月末、静岡県から突然、お客さまが訪ねて来られるという出来事があった。その人は2年前に静岡県西部のイノベーション事業の担当者になられたのだそう。何をどこから始めていいかわからず困っていた時に、ネット上で当センター事業の記事を発見したらしい。記事を参考に、見よう見まねでピッチイベントを立ち上げて、「もうすでに2回開催した」とうれしそうに報告してくれた。

なにが正解かもわからないまま、無我夢中で取り組んできたことを、「参考にした」と言ってくれる他地域の人に出会えるなど想像もしていなかった。その人は私にお礼を言ってくれていたが、私の方がその人から元気や勇気をいただいたのだと思う。

写真=iStock.com/gyro
※写真はイメージです

福井県でベンチャー支援事業を立ち上げて7年目になる。7年続けてきてやっと、上場企業が出る芽が見え始めてきたくらいの進捗しんちょくだ。当然ながら、当センター事業は実績として誇れる段階では決してない。しかし、福井ベンチャーピッチを定期開催できていること、そして、ここ数年で、シード期に資金調達をして成長モデルを描く若者や社長直下のポジションで活動するイントレプレナーなど、若手のチャレンジャーも登場し始めていることを鑑みると、これまでたどってきた道程は、少なくとも間違いではなかったと感じている。

地方のベンチャー支援というのは、一定の成果が出るまでには想像以上に時間がかかる。一見回り道のように見えたことが実は近道だったと発見することもあったりして、試行錯誤を繰り返す過程の中にこそヒントがあると実感する日々だ。福井ではこれからも、地域の実情に合ったベンチャー支援を一歩一歩進めていきたい。

関連記事
「野球好きが集まる場所」ではやがて行き詰まる…日ハム新球場がサウナ、飲み屋街、キャンプ場まで用意する理由
食事は毎日マグロ丼…女子大生がマグロ漁船で100円のお菓子を2000円で取引して分かった"商売の本質"
絶好調のマクドナルドよりすごい…北海道発「ラーメン山岡家」にハマる人がどんどん増えている納得の理由
これで老後のお金の不安が消える…80歳まで「毎月10万円」稼ぎ続けられるスモールビジネスの始め方
これだけは絶対にやってはいけない…稲盛和夫氏が断言した「成功しない人」に共通するたった1つのこと