経営
次の「経営」です。『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の販売部数が100万部を超え、一大ブームになっています。ドラッカーの核になる部分をわかりやすく解説したよい本ですが、読んで「面白かった!」で終わらせてしまっては何の役にも立ちません。こういう本を入り口に、さらに興味の対象を深めていくことが必要です。ドラッカーの考えを深く知るには『抄訳マネジメント』がお勧めです。腰を据え、じっくり10日くらい時間をかけて読むのなら『マネジメント(上・下)』もあります。
経営においてもっとも重要なのはビジョン・理念です。この原則を示した『ビジョナリーカンパニー』は読んでおくべき一冊です。スターリングラード攻防戦やマッカーサーの仁川上陸作戦など、戦争における戦略を扱った『戦略の本質』は、ビジネスにも通じる戦略の勘所を突いた面白さがあります。また、企業のすべての枠組みは会社法によって規定されていますが、きちんと押さえているビジネスマンは極めて少ない。『会社法入門』には、一度目を通しておくべきです。
たくさん経営者を見てきて思うのは、お金儲けだけを目的にやっている人は必ずどこかでつまずくということ。本物の経営者は経営に対するしっかりした考え方と、勘定を合わせる能力を持ち合わせています。渋沢栄一の『論語と算盤』は、本物の経営者が持つこのスタンスを学ぶのに役立つ本です。
岩崎夏海著、ダイヤモンド社、2009
ストーリーを通じて、ドラッカーの考え方のコアな部分に触れることができる。
『抄訳マネジメント』
ピーター・F・ドラッカー著、ダイヤモンド社、1975
あまり時間がかけられないなら、エッセンスが詰まったこちらを選ぶとよい。
『ビジョナリーカンパニー(1~3)』
J・C・コリンズ著、日経BP社、1995/2001/2010
最新作3では、どういうときに会社が失敗するのかが描かれている。
『戦略の本質』
野中郁次郎ほか著、日経ビジネス人文庫、2008
直接に経営を扱った本ではないが、ビジネスの本質に通ずるものが驚くほどある。
『論語と算盤』
渋沢栄一著、ちくま新書、2010
500社近い会社をつくり、一橋大学を創設した大実業家による、「本物」の教え。
『マネジメント(上・下)』
ピーター・F・ドラッカー著、ダイヤモンド社、1993
ゆっくり時間をかけられるなら、「知の巨人」の代表的な著作に取り組みたい。