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ポイントは2つあります。どんな新聞にも当てはまることですが、まずは一面のトップ記事から順番に読むことです。リード文だけでも読んでください。新聞は、新聞社が重要だと思う順番で記事を掲載しています。それは「世間」の関心事の順番といっていい。その重要度に自分を合わせるのです。新聞を読むことで、世間の関心事に自分の関心事を合わせる訓練をするわけです。特に、将来、リーダーになろうと思っている人には必須の読み方だと思います。

もう一つは、1週間単位で読むことです。日経の始まりは月曜日ではなく日曜日。日曜の紙面には、月曜からのイベントが整理されて載っています。たとえば「市場アウトルック」には、株式や為替、金利相場の予測とともにイベントがまとめられています。そして、月曜日の「今週の予定」にはGDPの発表や中央銀行の政策決定といった重要なイベントがさらに細かく載っています。記事を読みながら、この一週間に、何が起きて、どう動くかという仮説を立てるのです。

月曜の朝刊には、私が日経を読む大きな理由の「景気指標」があります。それを使い、仮説に修正を加えたり、新たな仮説を考えたりします。火曜の朝刊から金曜の夕刊までは、日々のニュースに加え、日・月で確認したイベントや市場の動き、景気指標の発表内容を中心に読んでいきます。土曜はその週を総括する内容が多いので、それに沿って自分の仮説を考察します。株式の場合、「週間株式」という紙面を使うと便利です。

「国債利回り」とインフレをつなげる

私が日経を読むのは、マクロ経済の動向を手早く押さえるためです。どんな企業や業界も、必ずマクロの動きには左右されます。経営者はもちろん、経営者を目指す人にとって必須の知識といえるでしょう。また思考の訓練にも向いています。マクロ経済の数字に比べれば、会計の数字を理解するのは100倍ぐらい簡単です。会計は決められた規則通りにしか動きませんが、マクロ経済はたくさんの要素が複雑に関連しているため、動向が掴めるようになるには、複雑な思考が必要です。