女性記者は社内結婚が多い

実際に、日経社内はどんな構造になっているのだろう。

「あの当時は、経済部がピラミッドの頂点です。新聞社の組織は、本来(紙面の構成を決める)整理部が強い。でも、日経は、新聞の顔にあたる一面トップを数多く書く経済部が強かった。その強さは幹部人事や給料(手当)にも反映されたので、政治部、社会部、産業部の人たちは経済部にコンプレックスを持っていました。ところが、商品部や地方部、アジア部は、産業部にすらコンプレックスを抱きがちでしたね」(町田氏)

他紙と比較すると日経の権力構造のオリジナリティが垣間見える。

「どの新聞でも社長の出身部署の勢いが増すのは間違いない。読売では、政治部、社会部、地方部の順で強い。(読売の)前の社長は地方部出身でしたから。朝日を読んでいると経済記事をトップにするのを忌避している気がします。一面に金儲けの話は『下品』とでも考えているのでしょうか。朝日の経済部は、社内で冷や飯を食っているかもしれませんね」(読売記者H氏)

女性にとっての日経はどうなのだろう。喜多社長への取材当日に、就職面接へ来ていた女子大学生I氏は、日経の印象を話した。

「証券会社で働いていた父がよく読んでいた日経にあこがれて試験を受けにきました。でも、朝日や毎日と比べて、女性に優しくない社風のイメージが就職活動中の学生の間であり、ネットの掲示板にも現役社員の声として、そういった情報が流れています」

現役の日経の女性記者J氏に、実情を聞いた。

「日経記者の取材にかける情熱は相当なものです。平均睡眠時間3時間なんて記者はザラです。平日は馬車馬のように働いて、土日は気絶するように寝ています。一般的な会社と比べて、要求される仕事量が多いのでしょう。

そんな実情もあって、夜討ち朝駆けをしなくて済む生活情報部に女性記者が集まってきてしまう現実があります。キャリアを積む女性も近年やっと出てきたかな、というのが私の印象です。日経社内は完全な男社会です。

女性記者の結婚相手は、基本的に社内です。忙しくて外に目を向ける時間がないのでしょう。逆に男性記者はずいぶん活発に外で見つけてくるようです。取材先の人と結婚することもありますが、それは報道機関の記者としてどうなのでしょうか」