私たちは逃げてきてしまった
「1988年のときと同じです。いまの子たちはあの時代を知らないのに、勇気をもって戦ってくれている。それを見ると、本当に申し訳ない気持ちなんです。あのとき、私たちにもうちょっと知恵があったら、ちゃんと抵抗できていたら、国は変わっていたかもしれない。いまの若い人を死なせずに済んだかもしれない。なのに私たちは逃げてきてしまった」
ということばが重くて、重すぎて、だからと言ってわたしが泣いてもなにも変わらないから、ぐっと涙をこらえた。こういうときでもサンサンさんの声は優しい。外ではクマゼミが鳴いている。